(attention!:今回ちょっと長め)
バスツアーって楽で好きです。今回はカミさんが選んだ「東京・邸宅5景めぐりと目黒雅叙園百段階段特別展」という奴。
都内なので、行こうと思えばいつでも行けるんだけど、車で行くとこういう施設ってあんまし駐車場とかなかったり、近くにコインパーキングとかあっても高い。かといって電車で回ると時間もかかる。そういう意味でバスツアーは楽。しかも呑める←ここ重要(今回は呑まなかったけど)。
建築、特に夫婦揃って古い建物、特に洋館好きなので、今回のツアーちょっと楽しみでした。今回の訪問先は
『旧岩崎邸庭園 / 財界人の邸宅』
『旧前田侯爵家駒場本邸 / 華族の邸宅』
『旧朝倉家住宅 / 文化人の邸宅』
『目黒雅叙園 百段階段特別企画展観覧』
『迎賓館 / 皇族の邸宅』(車窓から見ただけ)
(ツアー会社のhpより)
私は詳細を聞いてなかったので洋館だけかと思っていたんですけど、実際は、旧岩崎邸、旧前田侯爵邸にも和館があり、全体的に日本建築探訪でした。迎賓館は、年に1度の一般公開以外は中に入れないんで前を通っただけ。付けたしみたいなもん。
上野不忍池近くに建つ旧岩崎邸は、現在東京都によって「旧岩崎邸庭園」として管理されています。
三菱財閥初代、岩崎弥太郎が邸地を購入、その後岩崎財閥3代の岩崎久弥によってジョサイア・コンドルの設計で建てられ、1896年(明治29年)に竣工されたもの。戦後はGHQによって接収され、金唐革紙を貼った壁にペンキを塗ってしまった。一部だけ残っていたところを元に復元された壁はとてもきれいになっていました。ったくアメ公はこういう繊細な美が分からないから困ったもの。
隣接する和館も書院造のすばらしい建物。岩崎家は和館を日常的に使い、洋館は迎賓につかってたそう。日本人だね。
洋館の隣には、山小屋風の撞球室。ビリヤードやる為だけに別棟。金持ち。しかも洋館とは地下道で結ばれているらしい(非公開)。
洋館の2Fに、庭を見渡せる廊下があり、そこで家族全員で撮った同じアングルの写真が飾られていました。100年近く前にこの同じ場所で撮られた写真をみて鳥肌が立つ思いでした。岩崎家ってどうなったんだろう…。
次に向かったのが、駒場公園内にある旧前田侯爵邸。
よくTVドラマのロケ地にも使われてます。
(※昨日まで貼っていたのは岩崎邸正面玄関でした(^-^;)。こちらが正しい。ちなみに今まさに入館しようとしているのがカミさん。)
昭和5年竣工。旧加賀藩主前田家、前田利為侯爵の本邸として使用されていましたが、戦後これまたGHQに接収され、接収が解除される昭和32年までの12年間は連合軍極東軍司令官の官邸などとして使用、返却後2002年まで「東京都近代文学博物館」として使用されていましたが、その後「旧前田侯爵家駒場本邸」として公開されています。
岩崎邸は庭園として管理が行き届いていましたが、ここは、何しろ博物館として利用されていた当時にかなりリフォームされて、床にはリノリウムが貼ってあるわ、そこかしこにコンセントはあるわ、照明は蛍光灯になってるところはあるわ、更に庭の手入れも悪い為、かなり幻滅。それでも、外観の雄姿は往時を留め、内装もかつての面影がそこかしこにあります。これ、入館料とっても良いので、修復作業をおこなって、庭の手入れをしっかりやるようにすれば良いのになぁと思いましたよ。このまま無料でテキトーに見学させるのはもったいなさすぎる。
隣の日本建築も良い建物。1階しか見学はできませんでしたが、庭を一望できる大広間。ここで時代劇みたいに純和式の結婚式やってみたいなぁと思っちゃいましたよ。
前田侯爵は、ドイツ、イギリスに留学した外国好き。なので、岩崎家とは逆に、洋館を日常的に使い、和館は迎賓館として使っていたそうです。
さて次は、今や若者で大人気の代官山。お洒落なお店が立ち並ぶヒルサイドテラスのすぐ裏手にある旧朝倉家住宅。
大正8年に竣工。代官山の斜面を利用した回遊式庭園を擁した純日本家屋です。朝倉家というのは、代々渋谷に住む豪農で、幕末には精米業を営み成功し、大正昭和にかけて府議や区議を歴任したお金持ち。大正期の建築物としては、関東大震災の被害も免れ大変貴重なもの。
私が気になったのは、敷地内にかつてあった「弓道場」を背に写る当主朝倉虎次郎の写真。現在はありませんが、「弓道場」のある家、羨まし…。
窓にはめ込まれたガラスも波打っていて如何にも時代を感じさせます。
昼食を兼ねて訪れたのが、「目黒雅叙園」結婚式場ですね。
古いってことは知ってましたが、最近新しく建て直ししたんで、なんで行くんだろーと思ったら、ありましたよ有形文化財。
「百段(実は九十九段)階段」の7つの踊り場に隣接した和室。これがまぁすごい部屋。異常に立派な床柱の据え付けられた宴会場。天井壁面には様々な絵が描かれています。
「千と千尋の神隠し」の油屋のモデルの一つともなったと言われるこの部屋は、まさにそんな感じ。残念ながら写真は撮影禁止だったので、写真はないです。
宴会、結婚式場として建てられたこの建物の装飾は、まさに"ハレ"の日の為のもの。「下品なほどの派手さ」だけどこの開き直りはある意味一見の価値ありです。
残念ながら最後の迎賓館は、車窓から見ただけ。迎賓館は元々大正天皇の住居として建てられたものだったのね。設計は、岩崎邸と同じコンドル。来年は是非迎賓館の中を見学したいです。
建物って、人が住んでいなければ抜け殻みたいなもの。しかし、こうして古い建物を大切に保存し、いつまでも往時を偲べるような状態にしておく事も一方で大切なことだと思うのです。
建築に興味のある方、東京に住んでいればどこも簡単に行ける所ばかり。是非時間を見つけて入ってみてはいかがでしょう。すごく面白いですよ。