本橋信宏著・駒草出版
本橋さんの著作は結構読んでいます。これは最新刊。楽しみにしていたので即購入、他の積読本を抑えて早速読みました。
「東京最後の異界 鶯谷」「迷宮の花街 渋谷円山町」に続く、東京街歩きシリーズ(勝手に命名しました)。過去現在の上野のどちらかといえば知られていない側面、歴史を丁寧に活写しています。
一般的には家族連れに人気の動物園、上野公園、国立博物館をはじめとする芸術の街。一歩山を下ると、闇市の名残のようなアメ横、中国エステ、新大久保よりも古い都内最大のコリアンタウンなど芸術とはかけ離れた生命力にあふれた猥雑な街。こういったごった煮のような町は世界的にも珍しいらしい。
普通に生活をしていると、単に交通の要所、今は新幹線とか東京発になっちゃったけど、やっぱり「北の玄関口」というイメージ。
私も上野を起点とする東北本線(今は近郊部分は宇都宮線という言葉が定着してきました)沿線が実家なので、最初に意識した東京は上野でした。もっとも自由に東京に行くようになってからは、専ら赤羽で乗り換えて池袋、新宿方面に行くのが普通で、上野にはあんまし行かないですけど。だから上野を中心とした東京の北東側はあまりなじみがありません。
でも猥雑な街って嫌いじゃないです。私にとっては新宿がその最たるもので、一般人の行き交う浅いところからアンタッチャブルな深いところまで狭い地域にあったりする。
人が生きていくのって、きれいごとだけじゃない。どんな人間だって必ず一面だけじゃない。多面的であればあるほど深みを増すのは街も人も同じ。
「ブラタモリ」や「もやもやさまーず2」のような街歩き番組の好きな方でちょっとアブナイ話にも興味津々って人にはお勧めです。

- 作者: 本橋信宏
- 出版社/メーカー: 駒草出版
- 発売日: 2016/07/15
- メディア: 単行本
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