今月のプライム会員特典、月1冊「Kindle Unlimited」無料本。「サイボーグ・ブルース」は、角川文庫で今から30年以上前に読みました。その後何度か再読していますが、前回読んでからも10年以上経ってます。
初出は、1968年-69年SFマガジン。初単行本化は71年。この作品の原案となったのは63年の自作の国産アニメ原作「エイトマン」ですから、40年以上前ということになります。
「エイトマン」は高性能ロボット(スーパーロボット)で、殺された刑事の全人格と記憶が電子頭脳(!)に移植された、という経緯で、平井和正はサイボーグと設定したものの、周囲のスタッフから理解されず高性能ロボットとなったそう。
"サイボーグ"が一般的になったのは石ノ森章太郎の「サイボーグ009」と言われています。1964年スタート、アニメは66年ですので、早すぎた作品でした。そこで<エイトマンへの鎮魂歌>としてつくられたのがこの作品。
黒人の警察官アーネスト・ライトは、同僚に後ろから熱線銃で狙われ殉職。その後サイボーグ特捜官として自分の意思に関係なく再生される。未来であっても黒人白人の対立は解決しておらず、更に人間と機械との間で思い悩むライト。
本来治安を守る警察組織の腐敗を感じたライトは、警察を辞め探偵となる。そこで知り合う人々はさらにライトを深い懊悩の闇に引きずり込む。
ロボコップが1987年ですから、20年以上前に同様のモチーフで作品が作られていました。「サイボーグ・ブルース」は知る人ぞ知る作品ですが、「ハリウッド映画最高!」などといっている最近の若者に是非触れてほしい作品です。
今、特にハリウッドでは原作不足で、マーベルコミックの再生産ばかり。「サイボーグ・ブルース」はハリウッド映画化してほしい作品ですが、人種差別があからさまだから逆に難しいか…。
前述の「電子頭脳」だけでなく、さすがに古い言い回しはありますが、今読んでも古さを感じない内容。紙本は絶版になって久しいので、電子書籍で読んでください。
お勧め。

- 作者: 平井和正
- 出版社/メーカー: ルナテック
- 発売日: 2013/05/13
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