amazonプライム月1冊無料にて。ウルフガイ第1期完結。初出は1974年SFマガジンに第1部3回まで連載語中断、翌75年、祥伝社nonnovelで1,2部同時刊行されました。版型が変わるたびに読んでいますが、電子書籍版は初めて。
(さすがに古い作品なのでネタバレ含みます)
青鹿晶子を蝕むナルコティック800の解毒剤を得る為、CIA極東支部に地下から潜入中の犬神明と虎4(フースー)。一方、西城と恵子、チーフスンの3人は、不死鳥作戦の全容を聞き出すべく新しい極東支部長サミュエル・ハンターの官舎を襲うが、ハンターですら不死鳥作戦の駒にすぎず、詳細は全く知らされていなかった。西城たちは、不死鳥グループが青鹿晶子と神明が匿われている伊那谷の虎の里にMグループを派遣し狼人間を生け捕りにするための行動をしていること知り、ハンターの娘エリーを人質にして伊那谷を目指す。
極東支部の潜入に成功した犬神明と虎4(フースー)は、長官室のハンターに逢うが、解毒剤が存在しないと聞く。合わせてMグループが虎の里に向かっている事を聞き、戻ることを決意するが、防犯システムが再稼働してしまう…。
今から40年以上前の作品、しかも何度も読み返しているのにドキドキが止まらない。CIA極東支部からの脱走時に虎4爆死。涙を振り切って虎の里に戻る為狼の姿になって疾駆する犬神明。ウルフガイ屈指の名シーン、まさにクライマックスです。
Mグループの秘密、ブーステッドマン(疑似狼人間?)の強化アンプルを西城から譲り受け青鹿のもとに向かう犬神明。そこで狼の哀しい遠吠え、チーフスン曰く「大切な人か、最愛の人が亡くなったに違いない」。ここで第2部エンドマーク。
第2部終了後、平井和正は幻魔の時代に突入。しばらくウルフガイシリーズは、書かれなくなります。命をすり減らしながら「幻魔大戦」「真幻魔大戦」を書き続ける平井和正。そして1984年、高橋留美子との対談により続編「狼のレクイエム第3部黄金の少女」を書き始め、95年「−第4部犬神明」をもって一応の完結を迎えます。
第2部をあのテンションのまま書き続けていたら、もっと違う続編になったと思います。正直第4部、第5部は期待していたものと大きく違うもので、第3部に至っては犬神明は全く出てこない。ウルフガイは第2部で完結と思った方が良いくらい。
第2部も読み返してみると、犬神明が守りの厳重な極東支部を襲うよりも、西城がやったようにハンターの官舎を狙う方が手っ取り早い。そこに思いを巡らさなかった犬神明の幼稚さ、そういった計画を示唆しなかった大人たちの莫迦さが目立ちます。血清による不死身化についても「―怨歌」の段階で、犬神明は気が付くべきだし、国家機関の虎部隊も「狼人間は貴重」といっているのだから、不死身性の移植について研究をしているはず。なのにあるかどうかわからない解毒剤を求めて命を落とした虎4は無駄死です。
ここら辺の整合性をしっかりと取って映画化とかどうでしょうねぇ。

- 作者: 平井和正
- 出版社/メーカー: ルナテック
- 発売日: 2013/09/07
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