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「魔境の狼男」

魔境の狼男 アダルト・ウルフガイ・シリーズ (NON NOVEL)

平井和正著・kindle/祥伝社・NONNOVEL版
アダルトウルフガイシリーズ第3巻。
 kindle版での連続再読続けています。

 ハヤカワ文庫で発売されていた「リオの狼男」からブラジルでの2篇「リオの狼男」「ライオンヘッド」と「人狼地獄篇」を1冊にまとめたもの。犬神明のブラジルでの事件を1冊にまとめたという意味では本来の編集となり、これはこれでよい。
 ただこれまた本編にない「魔境の狼男」という訳の分からないタイトルは昔から気に行ってません。もっともあとがきで”ウルフガイストーリーは魔境探検”と言っているし、リオにいたのは最初の2篇、その後はブラジリア~アマゾンの奥地、何度か魔境という言葉も出てくるのである意味正しいのですが。気分的には、これと同編集のルナテック版が「リオの狼男」としておりこれが一番しっくりきます。角川文庫版は「人狼地獄」と後半部分に焦点を当てた書籍タイトル。これは次巻の「人狼戦線」に合わせたようなたいとるですが狙い過ぎです。

 お話は、犬神明が、盟友財閥令嬢の蛇娘、石崎郷子が行方不明になり、その捜索を依頼される。郷子の足取りを追ってブラジルに行く犬神明。郷子は偉大な呪術師(マクンベーロ)ライオンヘッドの元に自らの意思でいた。しかも郷子捜索は犬神明をだます理由で実は反政府主義者の頭目ライオンヘッドの暗殺が主目的、またも犬神明は組織に騙される羽目に。捜索行の中通訳のエリカを殺され怒りに狂う犬神明は、エリカの敵を討つ為、リオからジャングルの人工都市、ブラジリアそして元ナチスの生き残りの生体実験所までの魔境行をし、エリカの仇を打つが、犬神明の心には虚しさだけが残る。

 半分以上が拷問シーンで、これは好みの分かれるところ。団鬼六の「花と蛇」が角川文庫に入った時、SM小説と一緒の本棚に並べてほしくないという理由で角川からの出版を引き上げたことがありましたが、いえいえどうしてこの本もかなりの嗜虐被虐小説ですよ…(^_^;)。ゴキブリ部屋の話なんか式貴士「カンタン刑」よりも恐ろしい描写。

 これでもかというほど犬神明が責められる姿は、正視に耐えない。人間の悪辣さ非道さのみが浮かび上がる。平井和正が”人類ダメ小説”が最高潮になっていた時代の小説。
 高校時代に初めて読んだのですが、そりゃトラウマにもなろうというもの。以来人間そのものをあまり信じられなくなりました。もっともかく言う自分の中にも清浄な部分と悪辣な部分がある事も認識しており、人生も後半だというのに、たまに自己嫌悪に陥ったりします。

 初出は1974年、今から45年も前の作品ですが、色褪せないウルフガイストーリーに脱帽です。
 
 さ「人狼戦線」読もーっと。

式貴士「カンタン刑」何度も紹介していますが傑作です。
http://hee.hatenablog.com/entry/20140530/p1

カンタン刑 式貴士 怪奇小説コレクション (光文社文庫)

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