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「怒り」(下)

怒り(下) (中公文庫)
吉田修一著・中公文庫
あっという間に読んでしまった。それほど、ページを繰る手を止められませんでした。
並行して語られる3人のうち、誰が犯人なのか。もちろんそれも気になりますが、それよりも、TV公開捜査をされて番組を見た周辺の人が「もしかしたら奴が殺人犯なのか?」と疑心暗鬼になり、いったんは信じるといいながら、信じ切れずに悲しい結末を迎える。
犯人が犯行現場に残した「怒」の文字はいったい何だったのか。明確な回答はない。犯人は誰か、殺人の動機、壁に血で書かれた「怒」の意味。実はすべてどうでもよい事。そういう意味では、このお話しは、ミステリーの衣をかぶっているものの、全然ミステリーではない。

 「わたしはあなたの事を信じる」言うは易し、行うは難し、です。「怒り」の正体は、人を信じ切る事の出来ないすべての人が、自分に向けた「怒り」なんでしょう。
 大体、自分が100%人を信じることができないから「わたしはあなたの事を信じる」的な事を云う人を私は信じられない。私は他人を信用しないし、だから私も人に信用されなくても仕方がないと思っている。ただ信用されるされないは別として正直に生きていきたいなとは思っている。人に「怒り」をぶつけるのは愚かなことだと思っている。

 何かを任せた時に、期待をしたり信用したりして、それが出来なかったりした時、人はよくできなかったことを責めたりします。それが正しい関係だと思う。お願いされて、それを引き受けたにもかかわらずできないのは無責任だと思う。でもそれを責めたところで仕方のない事。依頼した自分がいけない。そう思うようにしています。結局人を信用していないんですね。大なり小なり人は裏切られるもの。簡単に他人を「信用する」なんてなかなか口に出していえない。

 少なくとも自分は人を裏切らない。裏切らないよう行動をする。それでも裏切ってしまう事はある。そういうもんです。「信じる」といって信じてないよりも「そもそも信用していない」といっている方が良いと思います。

 と、そんないろんなことを考えさせられるお話しでした。
 吉田修一は「悪人」もそうですが、心にずしん!とくるストーリーテラーです。元気な時に読むのをお勧めします。

怒り(下) (中公文庫)

怒り(下) (中公文庫)

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