1984(昭和59)年 東宝/キティフィルム
昨日夜、tvkで11時から「新世紀エヴァンゲリオン」「機動戦士ガンダム」、そして0010からNHKで「未来少年コナン」が再放送をされていました。
「新世紀エヴァンゲリオン」…1995
「機動戦士ガンダム」…1979
そして「未来少年コナン」はその前年1978年の作品。
再放送ですが、これら作品を一度に地上波で流すってなんかすごいです。
で、昔の作品を見たくなって引っ張り出してきたのが「うる星やつら2 ビューティフルドリーマー」1984年の作品です。
ロードショーでは観ておらず、この作品が大好きだった友人が買ったVHSビデオ(当時12800円もした)で観たのが最初。その後名画座で観て、DVDでと、おそらく10回以上は観ています。
その後、押井守作品を観るようになって、ビューティフルドリーマーは、高橋留美子作品ではなく押井守作品であると認識をしました。
学園祭の前日を延々繰り返す世界。
その異常さに気付いた人が次々に失踪するも、中でドタバタを繰り返すあたる達は、気づいていながらその”楽しい世界”を満喫する。
タクシーの運転手に乗り移った無邪鬼とサクラさんの会話で、無邪鬼はこんなことを言います。
「なまじ客観的な時間やら空間やら考えるさかいややこしい事になるんちゃいまっか。帯に短し待つ身に長し言いますやろ。時間なんちゅうもんはあんた、人間の自分の意識の産物なんや思たらええのや。世界中に人間が一人もおらなんだら時計やカレンダーに何の意味があるっちゅうねん。過去から未来へきちんと行儀よう流れとる時間なんて、始めからないのんちゃいまっかいなあ お客さん。人間それ自体がええかげんなもんなんやから時間がええかげんなんも当たり前や。きっちりしとったらそれこそ異常でっせ。確かなのはこうして流れる現在だけ、そう思えたらええのんちがいまっか?」
すべての創作物は、夢の世界。そこで遊ぶも否定するも自由。だけど世の中に著作権者という神のような存在もおり、それは誰も無視できない。
「うる星やつら2 ビューティフルドリーマー」は、確信犯的に二次創作をメジャーでやった初めての作品なのではないかと思います。
©(〇にC)ブタの意味
テンちゃんが変なおっちゃん(無邪鬼?)からもらったかわいい子ブタ。お尻に©(著作権)マークがついていて、正体は物語の最後に無邪鬼の作ったラムの夢の世界を破壊する(夢を食らう)”獏”だった。
氷川竜介さんは「スポンサーでしょ」と言っていたのですが、私的には、高橋留美子だったのではないかと思いました。出てくるのもちょうど30分くらい。高橋留美子は、不快感を表し試写の途中で席を立ったという言われています。あくまでも想像ですけど、ちょうどこの辺じゃないかと。
つまり、著作権を持っている人がブタ。あの頃高橋留美子は確かに太っていた。
しかも冒頭から学園祭のコスプレとして、東宝特撮や円谷のキャラクターのオンパレード。これも今なら著作権の侵害を言われても仕方ないくらいはっきりと描かれている。
著作権を無視してやりたいことをやる、だけど結果的には著作権保持者(獏)に自分の作った世界は破壊される。そこまで考えてあの子ブタを配置したんじゃなかろうか?
それに気が付いて高橋留美子は激怒したんじゃないかと。
『ビューティフル・ドリーマー』は)押井さんの『うる星やつら』です。
押井監督は、
『人間性の違いです』ってその一言言って帰っちゃった(笑)。これは自分の作品じゃないと言いたかったんですね。
とも話しています。
深読み?
あたるの家からみんなで友引高校に向かう途中で、忍ちゃんが風鈴の迷路に迷い込む。
それを2階から眺める一人の青年。
この青年は押井監督自身であると御本人が言っています。流れるたくさんの風鈴はフィルムの両サイドにある送り穴(パーフォレーション)を意味しているそうで、フィルム(創作)の世界に迷い込んだ観客を指しているとも。
ラブコメアニメを使い、ここまで自己の世界を表現するのはなかなかできない。
映画監督1作目は「うる星やつら」映画第1作「オンリーユー」ですが、作家性を全開させた今作が、押井守の第1作といっても過言ではないと思います。
もう42年も前の作品ですが、深読みせずとも楽しめる傑作です。
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