宇山 佳佑著・集英社文庫
2018年の映画の脚本家によるノベライズ。映画は予告編だけ観て本編未見です。
映画が娯楽の王様だった頃、助監督をしている牧野健司は、。お転婆なお姫様が出てくるオペレッタ風の映画に魅せられている。行きつけの映画館”ロマンス劇場”で、終映後の時間そのフィルムを掛け一人で見ることが唯一の楽しみだったりする。
ある日、ロマンス劇場の館主が、売上の足しにしようとそのフィルムを売却することになる。ショックを受ける牧野は、涙を溜めながら最後にそのフィルムを回す。すると、スクリーンから愛する姫(モノクロ)が現れる。
白黒の世界からやってきた美雪姫は、姫を演じる女優ではなく性格も映画の中の姫そのもの。
映画の中の姫に憧れていた牧野は、姫のわがままに付き合う。モノクロの世界から来た姫にとって、色のついた世界は何もかも刺激的。沢山のきれいなものを一緒に見て徐々に心を通わせ合う2人。しかしスクリーンから現れたモノクロの姫は「人のぬくもりにふれると消えてしまう」運命だった。触れると消えてしまうことを知った牧野はどうする。。
映画女優を好きになる、という経験をした人にとっては、胸を掴まれます。かくいう私もその一人。
リアルタイムでは、70年代からで、1950〜60年代の映画を見て好きになった女優さんは、数本出て既に引退されてしまっていたりします。
私が一時凄く好きだったのは、小林夕岐子さん。

60年以上前の写真です。今のアイドルと比べても遜色ないくらいキレイな人!
「ウルトラセブン第9話「アンドロイド0司令」のアンドロイド少女役、「恐怖の幽霊屋敷地を吸う人形」で吸血鬼になってしまった野々村夕子、ゴジラ映画「怪獣総進撃」の真鍋博士などを演じていました。1966年にデビューし74年に病気を理由に引退。以降一切表舞台から姿を消していました。2004年頃から徐々にイベント等で呼ばれることがあって、私も2009年のイベントで初めてご本人とお逢いすることができました。(その時のblogです↓)
hee.hatenablog.com
もちろん高齢になっても上品で素敵な方でしたが、私が好きなのは50年前に映されたフィルムの中のあの頃の夕岐子さんに会いたかったな。
アメリカ映画の「ある日どこかで」も似たような話ですが、これは古い映画を好きになった脚本家が、その映画の舞台となったホテルでタイムリープして彼女に会いにいく話。これはこれで切ないお話でした。
古い映画の中の俳優さんを好きになった人は是非読んでほしい作品です。
映画では、姫を綾瀬はるかさん、健司を坂口健太郎さんが演じていますが、どうかなぁ。後で観てみます。