春日太一著・文芸春秋社
春日太一さんの新刊です。ハードカバー476pと大作。お値段も2,500円(税別)と高価。これまで春日さんの本は、文庫、新書は恐らく全部読んでいますが、ハードカバーは初めて。今回は、私も好きな「七人の侍」「日本沈没」「日本のいちばん長い日」「砂の器」「八甲田山」などの脚本家・橋本忍評伝ということと、文庫化されるにしても数年後と考えると、ここで読んでおいた方がよいと考え購入しました。映画2本分くらいの価格ですが、橋本忍作品好き、脚本家・橋本忍を意識したことがあるという人であれば、全然もとは取れるw 春日さん渾身の1冊、代表作といってもよいと思います。
春日さんが「八甲田山」や「砂の器」が好きというのは知っていました。そんな春日さんが「幻の湖」をどう評価しているのか気になり読み始めましたが、ちゃんと”名作は名作、駄作は駄作”としているだけでなく、なぜ「幻の湖」があんな映画になってしまったのかを分析しているところがよい。春日さんが尊敬する橋本忍ご本人の言葉であってもそれだけをうのみにせず、周辺の人から聞き込み、資料を見て正解(であろうこと)を導き出すスリリングな評伝でした。