碧野 圭著・講談社文庫
「凜として弓を引く」3作目。
最初は社会人弓道会の話でしたが、前巻(青雲篇)から学生弓道の話になり、今巻は高校弓道部の話に。ただ学生弓道一辺倒ではなく、社会人弓道から始めた楓たちは、的中至上主義だけでなく射形、体配も気にしている点は好感が持てます。
特に学生弓道では試合に勝つ事=的中を求めることと、弓道をはじめて数年の先輩から指導を受けたりと、適切な指導者に恵まれないことも多いと聞きます。学生は毎日練習できるといっても、朝練や放課後の練習では体配の練習よりも矢数をかける事が重視され、まして人数の多い部活だったりすると満足に矢数もかけられない。だから時間がある限り的に向かうようになってしまう。
でも弓道において体配は疎かにしてはいけない。正射必中という言葉通り正しい射は確実な的中を生む。武蔵野西高のみんなには美しい射、確実な的中を目指して、試合でも好成績を残して行ってほしいなと、社会人弓道人としては思うのでした。学生、社会人に関わらず弓道人にはお勧めです。