氷川竜介著・KADOKAWA
氷川竜介は、日本のアニメ・特撮研究家で明治大学大学院国際日本学研究科特任教授として講義を持っている。
1958(昭和33)年生まれなので、いまでいうTVアニメや特撮映画、TVとともに歩んできた人生なわけで、そんな氷川さんの考える今の特撮、アニメが分化、特化されていく現状では、アニメにせよ特撮にせよ研究を進める上では片手落ち、いずれ袋小路に入ってしまう。これを危惧して、「もともとTVアニメもTV特撮も”TVまんが”として認識されており、相互に影響を及ぼしあっていた」ということを語った本。
私的には「空想映像文化論」序説とした方がよいのではないかと思いました。
私の中でも、TVアニメとTV特撮ものは、特に垣根を感じることなく見ていた世代で、アニメなら男の子向け女の子向けに限らず、まさに”TVまんが”として見てました。
私達の世代は、「アタックNo1」も「巨人の星」も「魔法使いサリー」も「もーれつア太郎」も、なんなら小学校高学年になっても「魔女っ子メグちゃん」「花の子ルンルン」だって見てました。
そういう意味では、ジェンダーさえもフリーでTVまんがの括りで見てましたねぇ。
ある時、普通の学園ドラマや刑事ドラマなんかの脚本を担当しているのが、特撮ものやTVアニメのライターだったりしたのを発見して、そっち方面も見るようになりました。
たとえば、TV特撮でも考えさせるドラマやアニメが確かにあったけど、いかんせん30分、CMと主題歌エンディングを抜いたら正味20分弱の尺ではどうしてもお話が性急になる。その点ドラマでは、1時間で語れるので、より人間の内面に訴えかける物語になる。
TV特撮、アニメの垣根よりも一般向けドラマとの方がよっぽど研究されていないと思う。
「ウルトラマンA」のメインライターの市川森一なんて一般ドラマの方が多い。映画版「銀河鉄道999」の脚本の石森 史郎は70年代に「仮面ライダー」「ウルトラマンA」「流星人間ゾーン」「ザ・カゲスター」の脚本を書いている一方で、刑事ドラマ、時代劇、映画脚本を沢山書いています。
特撮、アニメの関係を語っているこの本では、まだ語り切れていないのは氷川さん自身もわかっているはず。
これから第2弾、第3弾とマトリクス的に「空想映像文化論」を進めて欲しいなと思いました。
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