日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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「わたしを離さないで」 を読む。

 ハヤカワepi文庫。カズオ・イシグロ著。
 先日、映画を観て、カミさんが持っていたので借りて読む。
 映画の場合、観てからから読みます。今回の「わたしを離さないで」は、カズオ・イシグロが制作に関わっている(制作総指揮)ので、原作から離れた映画にはなっていないから、読んでから観ても大丈夫な作品。
 大概の場合、原作つき映画は、映画化された段階で、監督やプロデューサーの意思や予算、役者の想いなどの様々なデバイスがかかって、原作との乖離が生じる。それはそれで仕方のないことだし、逆にそれが面白かったりするので映画は楽しかったりする。ただ、原作を先に読んでしまうと、原作に引っ張られて映像化が楽しめなかったりしてしまうので注意が必要。
 そういう意味では、「私を離さないで」は、映画を補完している作品なので、映画と原作どちらが先でも全然OK。
 後は、自分の好みの問題なんだけど、私の場合、基本翻訳ものってやっぱり苦手だわ。この、翻訳ものにありがちなしっかりとした”てにおは”は、どうも感情移入を妨げる。作品そのものは、先に映画を観ていたのでイメージできるけど、とても回りくどい言いまわしは、カズオ・イシグロの責任?それとも翻訳者の力量か…。
 話の内容は、映画を観た時にネタバレして語ってしまったので、あえてここでは触れません。SF的シチュエーションを使っていますが、それよりも魂の有り様を問いかけてくる物語です。自由を戦って勝ち取るって話も決して嫌いじゃないけど、こういう、自らに課せられた運命を従容と受け入れ、静かに時が過ぎていく物語も決して嫌いじゃありません。
 数日前に書いたけど、電車の中で読んでいた時、BGMはエリックサティでした。非常に合います。
 疲れている時や病んでいる時に、元気を出す為に無理やり奮い立たせるような曲を聞くよりも、疲れに身を任せるような音楽や物語に触れるのは心地よいです。
 表紙のカセットテープも物語の重要なガジェットです。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)