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「黒澤明という時代」を読む。

小林信彦・文春文庫
先月の新刊。衝動買いしてすぐ読んでしまいました。黒澤明関連の本結構読んでいます。
小林信彦といえば、私たちの世代では角川文庫、黒い背表紙の「オヨヨ大統領シリーズ」が有名です。その後、新潮文庫での小説群をけっこう読んでいます。文春文庫では、映画や本の評論、それと、かつて自分が過ごした昭和の頃のエッセイが面白いです。

 さてこの本は、全ての黒澤作品を封切で観ている小林信彦さんが、その同時代的視点で黒澤作品について書かれたもの。いまでこそDVDやBlurayで、黒澤作品をいつでも観る事ができますが、1990年に全作ビデオ化されて以降のこと。その後レーザーディスク、DVD、Blurayと次々新しいメディアで発売されており、現時点で最高の画質で楽しむことができます。

 黒澤明が亡くなったのは、1998年ですから、勿論黒澤明の後年と同時代を生きているのですが、正直「影武者」「乱」があまり好きになれなくて、封切りで観たのは、「夢」だけです。その後、DVD化されてから殆どの作品を追いかけるように観、黒澤に関する評伝を読み漁っています。

 黒澤明は日本を代表する映画監督ではありますが、私の場合、全ての作品が好きというほどの黒澤ファンではありません。「酔いどれ天使」(1948)から「赤ひげ」(1965)までの17作、三船敏郎を主役に据えて、一番脂の乗った黒澤作品は、どれを観ても面白い。

 黒澤明の初監督は「姿三四郎」(1943)ですから、1932年生まれの小林さんは、11歳。日本橋の和菓子屋の息子だった小林さん、毎日商売がある両親に変わり、大人の人に連れられて映画を良く観に行ったらしい。それが、後年、作家となり、映画評論をする礎になっているのは誠に羨ましい限り。
 

 日本人であれば、黒澤作品を最低1作は観ておく事。私としてのお勧めは、「七人の侍」「用心棒」「椿三十郎」「隠し砦の三悪人」が、黒澤入門には良いと思う。時代劇は好きじゃないという人なら「天国と地獄」「生きる」かなぁ。「羅生門」「蜘蛛巣城」はちょっとハードル高い。どうしても白黒を受け入れられないなら「夢」。「乱」「影武者」はきれいだけど、中身が分かりにくい。「姿三四郎」から数年の作品は、フィルムの状態が悪いのかその頃の技術の問題か、画面が暗く、音声が聞き取りにくい。「七人の侍」もそうですが、できれば日本語字幕で観ると、より言葉が分かりやすいです。

 まだ黒澤作品に触れていない方は、是非どれか観てみてください。長いけど「7人の侍」やっぱいいですよ〜。

 あ、この本もお勧めです。また黒澤作品が観たくなってきました。

黒澤明という時代 (文春文庫)

黒澤明という時代 (文春文庫)