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「クリスタルサイレンス」 を読む。

藤崎慎吾著・ハヤカワja文庫上下巻

 沖縄が沈没してしまうという「ハイドゥナン」(全4巻)とその姉妹編「螢女」を読んで、気に入ってしまったこの作者の処女長編。なかなかのハードSFで久々に苦労しながら読みました。元々ハードSFって嫌いじゃないんですけど、最近ライトな物ばかり読んでいたので順応するに時間がかかったっつーか。

 物語は2071年、火星に移民が始まり様々な調査を行っている時代。火星の極冠に氷があるのは、写真とかで見たこともあると思うのですが、そこをボーリングしていたら、甲殻類の死骸らしきものが発見されます。しかし中身がない為、これを食料としていた先住民がいるんじゃないかという話に。縄文時代貝塚になぞらえた調査団は地球から縄文調査のスペシャリストの女性を火星に呼び寄せるところから物語は始まります。
 火星には、「クリスタルフラワー」と呼ばれる鉱物がそこかしこにあります。これもこの物語の重要なアイテム?となるのですがそれはまだ先の話。その後コンピュータ上に再現された人格やネットワーク上に野生化したプログラムが存在するとかいう話になります。

 で、この話の中に全人格をコンピュータ上にバックアップし、物理存在がいなくなった後もネットワーク上に生き続けるという描写がありました。そして、また人間に戻りたい時は、人間の脳をフォーマットし、そこに記憶をコピーすると。


 人間の記憶ってどれくらいの容量があるんだろう。ちょっと調べてみると、こんな風にありました。


 「脳の情報処理能力といいますのは、
神経細胞の数」×「シナプス結合の数」=「何ビット」
によって見積ることができます。
「感覚記憶」といいますのはみな大脳皮質に記憶されるものですが、ここには約140億の神経細胞があります。そして、ひとつの細胞に対してシナプス結合の数は平均で1万個ですので、我々人間の「大脳皮質の情報処理能力」といいますのは概ね「140テラビット:16TB」ということになります。
これを記憶容量に換算して「16TB」で宜しいでしょうか? コンピュータには余り詳しくありませんので、すいません間違っていたら換算し直して下さい。
では、我々の脳内には大脳皮質以外にも学習機能を持つ中枢があり、「大脳辺縁系」「大脳基底核」「小脳」といったものを合わせますと、その細胞数は1千数百億ほどになります。小脳や大脳基底核が扱うのは主に「運動記憶」というものですが、ここでは「作業の手順」や「話し言葉の手順」「暗算の手順」といったものも学習されると考えられており、こちらの記憶容量は「1ペタビット以上(1000テラ):114TB」あります。
学習機能を持たない残りの数百億は全て書き込みのできない「ROM領域」であり、ここには「感覚処理」や「運動機能」「自律反応」といった生体機能がプログラムされています。では、「脳全体の記憶容量」ということになりますと、たいへん大雑把ではありますが、「2ペタビット(2000テラ):227TB」ほどになる可能性はあります。」
(引用終わり)


最近は、テラ(T)単位のハードディスクが一万円前後で買えます。安いところでは裸の3TBで1万円を切ってます。
ってことは自分の記憶を全部移すなんてことも、もう少しすると出来るかもしれません。また、勿論人道的には許されませんが、もし記憶媒体用としてクローン人間を作ると、かなりすごいコンピュータが出来るかもしんないです。あ、でも栄養補給と排泄の世話はめんどいかも。。


 最近どんな本を読んでいても、何となくSFっぽい設定の小説はよくあります。この小説もとても面白い物語ではありましたが、一般社会に埋没していると、こういう話に簡単に思考が追いつかなくなっていました。
 どちらかといえば、日常→不思議な世界→日常 的な話の方が入り込みやすく、主人公に感情移入もしやすい。なので、半村良とか好きなんでしょうね。

 つまらなくはないですけど、同じ作家さんでは「ハイドゥナン」の衝撃と「螢女」の幽玄さと恐怖の方がどちらかといえば最近の好みですね。


クリスタルサイレンス〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)

クリスタルサイレンス〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)

クリスタルサイレンス〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)

クリスタルサイレンス〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)