岡崎 琢磨 著・宝島社文庫
表紙が、ラノベっぽいかわいい主人公の女の子が描かれていて、「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズの姉妹篇的な書店での扱われ方で気になっていました。しかしながら、読んでみると、その硬さというか、読みにくさは、「ビブリア古書堂―」とは似て非なるものでした。確かにラノベっぽいくどい言い回し、シチュエーション。
京都の街と裏路地にある雰囲気のいい喫茶店。そこにいる若くてかわいい女性バリスタ。バリスタってのはコーヒーを入れるのを職業としている人の事ね。そこに彼女に振られたばかりという青年がやってくる。青年はかなりのコーヒー通。その店のコーヒーに惚れこんだ青年は喫茶店「タレーラン」に通ううち様々な事件?に遭遇するも、頭脳明晰なバリスタが快刀乱麻の如く解決をする、というお話。この、才気あふれるバリスタ、切間美星さん、ある事件がきっかけで内気な女性になってしまったという。その事件が更に大きな問題になり、クライマックスへ。とまぁそんな話。
京都の街にも、コーヒーにもそれほど造形が深くない私にとって、この舞台設定にすんなり入り込めなかったのが第一の問題。それと、表紙に違わぬかわいい女性であるにもかかわらず、文章が硬過いのと表現の甘さかその魅力が十分に伝わってこないのが第2の問題。極めつけは、ミステリーたらんと欲するあまり、どうでもいい話を延々と謎ときすること。確かに全体を通してみると伏線を張っているんでしょうが、それにしても最後に向かう唐突な感じは、どうしても面白みを感じませんでした。
最近は、ドトールやスタバみたいなチェーン店の喫茶店しかないのは残念。昔、学生の頃いってた喫茶店。学校の近くの喫茶店はたまり場のようなものでしたが、少し離れたところにあるたまに行っていた喫茶店は、確かに150円では飲めないけど、落ち着いた雰囲気ですごく好きでした。カップを選ばせてくれるんですよ。
一応この1冊で完結しているようですので、京都の地理が判る人には面白く読めるかもしれません。
著者はこれは処女作との由。これからに期待というところですかね。
珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
- 作者: 岡崎琢磨
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2012/08/04
- メディア: 文庫
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