日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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「蘇る封印作品」 を読む。

 天野ミチヒロ 著・宝島社刊


 封印作品というのは、様々な理由で現在観ることができない作品を指します。この手の本はよく読んでいて、封印作品が気になり始めたのは今から30年前に「ウルトラセブン」に欠番があることを知ったのがきっかけでした。「ウルトラセブン」の12話「遊星より愛をこめて」は、再放送はおろかソフト化も一切されていない幻の作品。実はそれ以外にもたくさんの作品が現在公式には観ることができなかったりします。


 理由の主なものは、制作した頃は問題のなかった表現が、現在自主規制の対象になっている場合、特に言葉の問題で、例えば、きちがい、唖、つんぼ、かたわ、人夫、乞食、トルコ風呂など。俺らの言葉を使った作品で、一部は音声カットで放映されている場合もありますが、多用されていたりタイトルそのものに使われている場合は放映やソフト化はされていません。
 他には、色々な団体が作品に抗議をして制作会社が作品の公開をしなくなる場合。前記のウルトラセブン12話もそうですし、藤子・F・不二雄の「ジャングル黒べぇ」もそう。「ちびくろサンボ」も一時黒人差別をなくす会の、ステレオタイプの黒人(ギョロ目、分厚い唇、ベタ塗りの肌、槍を持って腰みのをつけている)作品狩りで市場から姿を消しました。
 また権利者の係争による問題もあります私たちの世代で大人気だった「キャンディ・キャンディ」は、今では原作漫画は絶版、アニメもソフト化されない状況が続いています。


 色々な問題があるにせよ、表層的な問題でその時代性を鑑みず封印してしまうのは、いいことではないと思います。確かにその言葉を聞いて不快に思う人がいるかもしれない。でも本当にそうでしょうか。作品の中身を見ず、単にいまの視点でのみ判断をして封印してしまうのは、不幸です。

 
 制作者は逃げずに問題解決に当たってほしいと思います。
 この本の中で「クレヨンしんちゃん」の話が出てきます。一時は子供に見せたくない低俗番組としてPTAのやり玉に上がっており、対応を間違えばこれも封印作品になっていたかもしれません。しかし制作者が原作にないストーリーを作り、抗議の返歌としたのです(詳細は本書に)。


 この本は、私的には目新しい話題もなかったのですが、初心者の方にはよいかも。

 

蘇る封印映像

蘇る封印映像

 

より掘り下げて知りたいと思った方は、安藤健二さんの著作「封印作品の謎」がお勧めです。

封印作品の謎―ウルトラセブンからブラック・ジャックまで (だいわ文庫)

封印作品の謎―ウルトラセブンからブラック・ジャックまで (だいわ文庫)