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「純愛小説」 を読む。


 篠田節子著 角川文庫


 4つの物語から成る短編集。
 第1話「純愛小説」は、純愛小説の敏腕編集者として働く香織が、中学以来からの同級生柳瀬に自分が妻から離婚を切り出された事を相談される場面から始まる。若い頃はそれなりに遊んでいた柳瀬だが、ここ10年は家族に尽くすよき父親。何故妻はいきなり離婚を切り出したのか。
 第2話「鞍馬」は、離島で教鞭を執っていた優子が、退職を期にフリースクールを始める事にしたが、私塾の為資金が足りず、杉並の実家にひとり住む姉に無心する。世間知らずの姉に再三連絡を取っても埒が明かず東京に向かうと、実家は既に更地となり、姉は行方不明。知り合いを訪ね回る優子。姉は、おんぼろアパートに呆けたようになっていた。何故家を売ったのか?姉に何があったのか…。
 第3話「知恵熱」八王子の奥に一戸建てを構えた高広。二男の大地がいきなり独り暮らしをしたいと言いだす。大学の近くのアパートを借りた大地宅に行くと、とても聡明な女性がいる。彼女との時間を大切にする為に家を出た事を理解する高広。しかし大地から母親に黙ってて欲しいと懇願され、律儀に守っていたが、母親は高広の行動を浮気と思いこんでしまう…。
 第4話「蜂蜜色の女神」精神科医尚美の元に、夫の浮気を治してほしいという女がやってくる。夫は、ひと回りも年上の女にイカれてしまっていて、本人もそれは病気だからもうしばらく待っていてくれなどという…。


 表題作を含め、「これの何が純愛小説?」とも思いますが、一方で確かにこれは純愛を描いた作品であることに読了後気付きました。何もプラトニックラブだとか、恋人が白血病で死んじゃうとかばかりが純愛小説ではありません。愛の形なんて100人いれば100通りある。周りの人が「騙されている」とか言って、確かに騙されているのかもしれないけどそれもまた愛の形。背徳や肉欲に溺れるのもまた愛の形。

 男と女がいて惹かれあう。ただそれだけでいいじゃん、それが愛の形なのだと。

 比較的対象年齢は高めの物語。若い子には毒有りすぎかも。


 

純愛小説 (角川文庫)

純愛小説 (角川文庫)