日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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「サイボーグ009 天使編/神々との闘い編」

サイボーグ009 天使編/神々との闘い編―石ノ森章太郎歴史的傑作集 (My First Big SPECIAL 石ノ森章太郎歴史的傑作集)
 この2作がカップリングされている唯一の単行本は、コンビニコミックでしか発売されていません。コンビニコミックって、読み捨ての雑誌に近くてあまり好きではないんですが、009の中でも衝撃の2編なので、欲しかったんです。発売されたのは2012年10月。コンビニでコミックを買う習慣のない私が存在を知ったのは昨年。当然店頭にはなく残念に思ってました。コンビニコミックって普通の単行本と異なり再刊は殆どないし、半ば諦めていました。そんな中、今年に入り、最寄駅のBOOKOFFで美本を発見した時は狂喜しましたよ〜。


 「天使編」の初出は、1969年の雑誌「冒険王」。
 これまでブラックゴーストをはじめ諸々の悪と戦い続けたサイボーグたちの前に、有翼人が現われる。本能的に危険を感じた009は加速装置のスイッチを入れるけど利かない。一緒にいた007は有翼人につれて行かれてしまう。残りのサイボーグたちが集まり、007の探索を始めると2人の有翼人がサイボーグたちの前に現われる。
「天使…!!」
「オマエタチは何者カ?」天使は超然と009たちに問いかける。
「僕らは…人間だ」 009は彼らに向かって答える。
「ソレハワカッテイル。ダガ身体ノ中ニメカニズムヲ埋メコンデ機能を高メテイル、ナルホド改造人間(サイボーグ)カ。」
天使には、身体の中も、思考も分かるという。
 009は有翼人たちに問う。
「あんたたちが敵か、味方か。そして本当に神なのか!」
それに対して有翼人たちはこう答える。
「オマエタチノイウ神ガドンナモノカシラナイガ、オマエタチノ造物主トイウ意味デナラソノ通リダ!」
天使たちは続けて
「オマエタチヲツクッタノハワレワレナノダ!シカシ"収穫"ニキテミテガッカリシタ。アマリニモデキガワルイ」と。
「ダカラハジメカラヤリナオスコトニシタノダ。」と続ける天使たち。
「イマコノ星ノオモナ場所デソノホウホウヲ研究中ナノダ、ユエニ実験ノジャマヲサレテハ迷惑ナノダ。ワレワレニサカラウコトハヤメヨ。ヨイカ警告ヲシテオクゾ。コレ以上邪魔ヲスルノナラ次ハ容赦シナイ」

天使の言葉にサイボーグたちは戸惑う。神と戦っても勝てる見込みはほぼゼロ。しかし009たちは、神といっても自分たちよりも少し早く生まれた種族に過ぎない。我々を滅ぼそうというなら神であっても闘うしかないと決意する。そして、長い眠りから醒めた001がサイボーグたちに新しい力を授ける…といったところで天使編は中断となる。


その後、「天使編」中断から4ヵ月後に虫プロの漫画雑誌「COM」で始まったのが「神々との闘い編」
こちらは、神は姿を現さず、静かにサイボーグたちの心を蝕んでいく描写が散文的に描かれる。最後には一つのセリフもない絵だけのページが延々と続き、難解この上ない。そしてたくさんのUFOが見開きページに描かれ、これまた中断。


 今から45年も前にこんなに前衛的で挑戦的な漫画が普通の雑誌に掲載されたのも驚きですが、これまでヒーローとして活躍してた00ナンバーサイボーグの物語にしてはあまりにも壮大で重い話に、「天使編」を初めて読んだ中学生の頃(それでも初出から15年以上経っている)、衝撃的過ぎてしばらく唖然としたのを憶えています。
 「神々との闘い編」は、COM連載時には4歳なので勿論読んでいません。単行本でまとめられたのは、1978年「サイボーグ009その世界」というタイトルで誕生編〜地下帝国ヨミ編までのダイジェストと一緒にまとめられたもので、3000円近くしたハードカバー。少ないおこずかいでは買えませんでした。初めて読んだのは、Shotaroworld版で009の完全版が発行された時の第12巻でした。


 そんな入手困難だった作品がまとめて読める。いい時代になったもんです。
 009を少しでも知ってる人、「天使編」はお勧めです。もしどこかで見つけたら是非読んでみてください。