何回目かの「99のなみだ」マイブームが来ています。まだ10冊以上読んでいない本があるので消化。
今回も12話、しっかり感涙でした。
短い中でしっかりと起承転結があり、爽やかな後印象を持つ物語を読んでいると、無駄に長い小説しか書けない作家の能力を疑ってしまいます。小説家の能力は間違いなく面白い短編が書けるかどうかで分かります。もっともこの本の場合、題材が全てですが。
今回の12話の中では、冒頭の、大学に入りピザ屋でバイトを始めた若者と古参のおばさんとの交流を描いた「寒い夜のピザ」、痴呆症の母と介護する娘の話「私の愛した人形」自殺しようとした瞬間見知らぬ人から携帯に掛かってきたTELをきっかけに生きていく事を決意する「余命」が印象的でした。その他の話も相変わらず良いお話でした。
生きて行く上で一番大切なのは共感力だと思う。「相手の身になって考える力」といってもよい。「99のなみだ」は性別や年齢、立場の違う主人公の話が出てきますけど、それぞれの身になって物語に没入することで、彼(彼女)の立場になって物語を追体験する。すると涙が自然と溢れてきます。
目を潤すための涙やゴミが入ったときに出る涙とは違い、悲しいときや感動したときに流れる『情動の涙』には、高い抗ストレス効果があるそう。なかでも他者への共感から生まれる『感動の涙』を流すと、緊張、不安、敵意などのネガティブな気分が解消されることが実験結果から証明されているとか。
日頃ストレスを感じながら生活をしている人、「99のなみだ」お勧めです。