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「沖で待つ」

沖で待つ (文春文庫)
 絲山秋子著・文春文庫


 絲山(マイ)ブーム真っ最中。表題作は第134回芥川賞受賞作。「勤労感謝の日」全編ひらがなの「みなみのしまのぶんたろう」の3作所収。
 絲山さん、ライバルメーカーで10年ほど営業をやっていたらしいです。その時の体験を元に描かれたのが「沖で待つ」という作品。年齢的には1989(平成元)年入社ってところか。1998年に精神を病んで休職。その後執筆生活に入り2001年に退職したとwikiにありました。私が中途入社したのが93年だからちょっとかぶってますね。

 作品は、同期入社の男性社員"太っちゃん"との友情を描いたもの。同じ業界のせいか、別に違和感なく物語世界に入れました。芥川賞の選評で宮本輝が「何年も実社会でもまれた人しか持ち得ない目が随所に光っている。」と言ってるけど、そうか?。転勤や遅くまで仕事したりっていう描写であれば、私でも出来そうだけどw。同じく選者の河野多恵子の「この作品には、全く無駄がない」「一人称、しかも話言葉という、無駄の生じる危険の多い形式を用いておりながら、その無駄のなさは小気味がよいほどで、正味のおいしさに富んでいる。」「職業の織り込まれ方の見事さには感心した。」「現代の本式の職業をこれほどまでに自由に書きこなした『沖で待つ』の新しさには瞠目する。」という選評も??。2005年頃同じような題材で書けたぞ…。
 

 昔に比べて同じ営業職に女性が増えましたねぇ。今うちの課でも7人中3人が女性。隣の課など5人中3人が女性セールス。私が入社した頃は、セールス職の女性は課に1人か2人くらいだった事を考えると隔世の感があります。自分が歳を取ったせいもあるけど、一緒に机を並べる女性には恋愛感情よりも同僚、戦友的感情の方が全然強い。同じ職場に異性がいると恋愛感情に結びつくと考える方が短絡的で、今は「沖で待つ」の主人公"及川さん"と"太っちゃん"のような関係の方が正しいと思う。


 「沖で待つ」よりも「勤労感謝の日」の方がどちらかと言えば好きかも。休職中の女性、恭子がお隣の長谷川さんの勧めでお見合いをすることになるって話。この相手の男がまた嫌なやつで…。

 3作目の「みなみのしまのぶんたろう」は全編ひらがなで読みにくいことこの上ないんだけど、ちっとファンタジーなお話は嫌いじゃありません。


 さて次は「逃亡くそたわけ」読みます。絲山ブームまだ続きます。 

沖で待つ (文春文庫)

沖で待つ (文春文庫)