先日借りてきた「地獄」(1960年中川信夫監督)と録画したまま観ていなかった「聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-」を観ました。
「地獄」というタイトルで、これまで3回映画化されています(1960年中川信夫監督・1979年神代辰巳監督・1999年石井輝男監督)が、これはその一番最初の奴。
79年、99年は見ていたんですが60年版だけ観ていなかった。しかも中川信夫監督と言えば日本のホラー映画の元祖みたいな人。おどろおどろしさでいえばピカイチ。
中身的には、地獄に行ってからは他の「地獄」映画と大同小異ですが、なんといっても皮剥ぎ地獄の痛そうな事といったら。昔だからCGとかじゃなく肉と骨をそれらしく並べて、心臓がドクドク動いてるとゆー。針の山とかもガラス(じゃないんでしょうが)きらきら光る針が、もう痛そうで痛そうで(>_<)。
主人公は若かりし日の天地茂。でもこの人悪事に巻き込まれただけでそんなに悪い事していない。最初のひき逃げも、自分が運転していたわけじゃなく、友達が運転していて、しかも自首しようとしていたのに運転していた友達に止められただけ。その後自首しようと婚約者(三ツ矢歌子)とタクシーに乗ったら、そのタクシーが自爆して電柱に突っ込み、その事故で婚約者とお腹の中の子供と一緒には死亡。ひき逃げされた男の情婦につり橋の上で殺されそうになったところ、その女は自分でこけて谷底に勝手に堕ちただけだし。それでも地獄行きって、かわいそうな天地茂。
閻魔大王は嵐寛寿郎ってところも見どころ。大きいお友だちには、音楽:渡辺宙明というのが注目ポイントですw特撮番組音楽の大御所。マジンガーZの音楽をやる12年前ってことになります。
↓オープンニング。ちょっとエロっぽいので注意。
もう1本は「聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-」
山本五十六を主人公にした物語なので、山本および帝国海軍を悪く書くわけはないのですが、それにしても帝国陸軍や山本に敵対する海軍参謀の好戦ぶりは、「いやいやそこまでは無いんじゃない?」と思い調べてみると、案の定、史実とは異なる点もちらほら。
こういう歴史物を描く際に、多少のフィクションを混ぜるのは全然結構なんですが、実際に当時生きていた人を貶めることで主人公のヒーロー性を高める演出、脚本はいかがなものかと思う。
確かにこの映画の山本五十六(役所浩司)はかっこいい。山本長官と考えを一にする部下、海軍省軍務局長の井上(柳場敏郎)、第二航空戦隊司令官の山口多門(阿部寛)もかっこいい。でもこれが全て史実通りと思ってはいけない。
映画の中で日独伊三国軍事同盟に反対する山本に対して青年将校が詰め寄る場面がある。それを井上がヒトラーの著した本をドイツ語で読み、「君たちが読んだ本はこの章がすっぽりぬけていて翻訳されていない。いいか、ヒトラーは日本のことを莫迦にして利用しようとしているんだ」と諌める。原点をちゃんと当たれということを言いたいのだと思いますが、そもそもこの映画そのものが原点(史実)を故意に捻じ曲げている点で「おまえがゆーな」です。
とはいえ、連合艦隊戦闘シーンや山本五十六が亡くなるシーンのCGは観ごたえがある。この映画を見たら史実を調べることが大切です。
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