1958年イギリス(邦題「SOSタイタニック/忘れえぬ夜」)
※珍しい日本公開版ポスター
10月31日、イマジカBSでデジタルリマスター版公開されており録画。最初に観たのはレンタルビデオ。その後セルビデオを購入、DVDは絶版になっていたので、この放映はすごくうれしかったです。
タイタニック映画は、大ヒットしたジェームス・キャメロン監督の「タイタニック」(97年)が有名で、この「A NIGHT TO REMEMBER」を知る人は少ないに違いありません。モノクロの古い映画。そしておそらく、キャメロンの版タイタニックはこの映画のリメイクといっても過言ではないシーンが随所に出てきます。勿論史実をもとにした映画ですから、似てくるのは仕方がないにせよ、船客や乗組員の動きの中で実際に見ていなければわからない描写が似ていたりします。
タイタニックの事故が起きたのは1912年の処女航海のこと。この映画は事件の46年後に制作されていますから、間違いなく生存者がいる時代です。そんな時代にこれだけリアルな恐怖を描いているのは考えただけですごいです。
キャメロン版のジャックとローズのようなメインカップルはいません。あくまでもタイタニックが主役。ラブロマンスで使われた尺で、沈没時近くにいたが助けに行かなかったカリフォルニア号、100キロ以上離れていながら、最大船速で駆け付けたカルパチア号の様子が描かれます。この映画を歴史ものとして評価できる点はまさにここにあります。ただジャックとローズの物語があったから女性のリピーターが増え大ヒットしたという要素は、興行としては正しい選択なんでしょう。
強いて主人公を上げるとすると、生存したライトラー2等航海士。彼は本来1等航海士として乗船の予定が、元々航海士長の指名を受けていたマードックが経験不足を指摘されて、ヘンリー・ワイルドと交代、その為、マードックが1級、ライトラーが2級に降格して乗船することに。沈没後は、ライトラー航海士の避難誘導を中心にタイタニックの乗員乗客が描かれます。
キャメロン版タイタニックのジャックとローズ邪魔だよなぁという人にはお勧めです。それと史実としてのタイタニック沈没事件を知りたい方はこちらの作品を是非ごらんください。モノクロの画面がさらに寒さと恐ろしさを感じます。