平井和正著・ルナテック/kindle
今月のプライム会員特典、月1冊「Kindle Unlimited」無料本。先月に引き続き「死霊狩り<ゾンビ―ハンター>」を読む。全3巻なのでこの巻で完結です。
前巻でゾンビ―抹殺に失敗した田村俊夫は、ゾンビー島での再訓練をすることになる。ただし俊夫に施されたのは再訓練というよりも司令官Sによる殺人機械になる為の洗脳だった。
同じ頃、旧組織に拉致され非道拷問を受けたライラがゾンビ―島へ戻ってきていた。ライラは乳房や瞼を切り取られながら一命はとりとめていたものの風前の灯。そんなライラの状況を聞いても俊夫は全く心を動かさない。
林石隆は、俊夫を元に戻すべく活動するが、ゾンビ―島に的であるゾンビ―が侵入したという噂が流れる。
島内はパニックになり殺し合いが始まる。ゾンビーの侵入が確実になり、Sはゾンビー島の放棄をする。仕掛けられた自爆装置で一部のゾンビーハンターのみを脱出させて残りの多くのスタッフは見殺しにされる。
覚醒した俊夫はライラを守る為に島に残る決意をする。林もまた、Sのやり方に反発し、自爆装置の解除に向かうが…。
「死霊狩り」は、もともと「デス・ハンター」のタイトルで桑田次郎画で描かれた漫画原作を小説リライトしたもの。
「死霊狩り」では、林の活躍虚しくゾンビ―島の爆発で終わっているけど、「デス・ハンター」では、その後の俊夫とライラ(漫画ではリュシール)のその後が描かれる。
今回読んだルナテック電子書籍版では、「デス・ハンター」で描かれたこの続編部分の原作(平井和正は漫画原作を小説の形で渡していたそう)をボーナストラックでつけています。この部分の小説版はこの版でしか読めません。
ただし、「ゾンビー」との最終決着は残念ながらついていません。
「死霊狩り」は、巻が進むにつれてコペルニクス的転回をしてしまいます。もっともその片鱗は最初から仕掛けてはあるのですが。
結局このテーマは、「幻魔大戦」に引き継がれていきますが、幻魔は幻魔として、「死霊狩り」は「死霊狩り」としてしっかりと完結して欲しかった。
平井和正の作品って、ウルフガイも幻魔もそしてこの死霊狩りも中途半端な終わり方でとても残念。とはいえ、言霊使いを自称し始めた平井和正にとっては、物語の起承転結なんてどうでもよかったに違いない。
平井和正が一番乗っていた時代の作品は、今でも十分面白い。

- 作者: 平井和正
- 出版社/メーカー: ルナテック
- 発売日: 2013/07/27
- メディア: Kindle版
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