本日初日の生頼範義展を観に上野の森美術館に行ってきました。
生頼範義といっても知る人ぞ知る、知らない人は全然知らないのではないのかと。70年代〜80年代に主に角川文庫での小松左京、平井和正の表紙それと平成ゴジラのポスターなんかは見たことある人も多いはず。
世界的に有名なのは「スターウォーズ/帝国の逆襲」のポスター↓
ただこのポスター原画は現在行方不明で展示されていたのは下絵でした(とはいえ完成版と遜色ないもの)。
「復活の日」のポスター、映画公開の頃の単行本・文庫の表紙もすごくいい。↓
私的には、平井和正に大ハマりしたので、「幻魔大戦」「ウルフガイ」をはじめとした平井和正の本=生頼範義さんの表紙で、後年泉谷あゆみさんが表紙を飾っていましたがどうも好きになれませんでした。
「幻魔大戦」(角川文庫)第1巻表紙↓
点描で描かれた人物画もまるで生きているような精密さです。
自分の好きなものだけを描く画家ではなく職業画家(イラストレーター)として先駆的な人ですが、題材となる小説や映画の世界をイメージを膨らませて、時には本編よりも豊かな世界を表現できる稀有な画家でした。
生頼展はアトリエのあった宮崎では何度かやっていましたが、東京での展覧会は今回が初めて(だと思う)。開場30分前に着いたのに既に100人以上が並んでました。
2015年に亡くなる数年前に脳梗塞を患い、絵筆が持てなくなったとのことですが、その数年前からイラストの仕事をセーブして自分の描かれていたそう。
一番最後の展示は1983年に描かれた「破壊された人間」600号の大作。
"殺された"ではなくもののように"破壊され"る人間。左端の銃をもった兵士のみ人間の形をしていて、それ以外は人間かどうかさえ分からないほどカオスな状態。戦争への怒りと悲惨さが一枚の絵に凝縮されてて圧倒されます。
イラストレーターとしての作品を原画で観る機会は今回初めてで、やっぱりその凄さを改めて認識できました。そして画家としての情念、想いをも感じることができた。
「幻魔大戦」好きとしては、サイボーグ戦士"ベガ"の立体化も今回の目玉。生頼さんの絵を知っている人も知らない人もお勧めの展覧会です。
2月4日(日)まで、上野の森美術館で開催中。