真山仁著・講談社文庫(上下巻)
「ハゲタカ」「バイアウト ハゲタカII」「レッドゾーン」に続くハゲタカシリーズ第4部。1部2部は、NHKで2007年ドラマ化され、第3部「レッドゾーン」は映画化されました。
投資ファンド=ハゲタカの鷲津正彦を主人公とした経済小説。今回のお話は、サブプライムローン問題が表面化する前夜から始まります。当然鷲津は今後の成り行きを予測、アメリカを代表するエジソン創設の会社アメリカンドリーム社の買収を水面下で企みます。
かつて「日本を買い叩け!」と豪語し、外資ファンドの代表として日本に乗り込んできた鷲津ですが、アメリカに利するハゲタカという側面ばかりでなく、無能な経営者に鉄槌を下しながら、再生の為に買収をしていきました。鷲津の根底には、日本に対する愛が感じられます。
今回は、表面上は自前のファンドで瀕死のアメリカを買い叩きます。しかしながら本丸は、今回の金融危機を生み出した投資家や「グリード(強欲)」をもって世界を制しようとするアメリカそのものに猛省を促すために動きます。決して自分の利益だけを追求していない姿に読んでいる人たちの共感を産む。これはシリーズ全体に通じるもので、単にピカレスクロマン的な話じゃないところがハゲタカシリーズの良いところです。
グリード(強欲)であることが善である。「強欲こそがアメリカンドリームの原動力」そういわれればそうかもしれません。のし上がってやる的な発想っていかにもアメリカ的。移民の国だからこそあらゆる手段でつかみ取るというのが大切なんでしょう。だから謙虚が美徳なんて言ってる日本人の文化とはそもそも相容れない。サブプライムローン破綻はアメリカだからこその事件だということがよくわかりました。やっぱあんまし好きになれないな、アメリカ。
サブプライムローン問題は日本経済にも悪影響がありましたが、少なくとも私はあんまし関係なく過ごしました。可処分所得が多く、利殖とかやっていたりした人は甚大な被害を受けたことでしょう。
お金はないよりもあるに越したことはない。ないと生活は乱れ、心は荒みます。でもありすぎても同じように生活は乱れ心が荒みます。面白いな。何事も中庸が大切。あってもなくても普通でいられるこころというのが大切。どちらかというとない人の方が多い。勿論私もない方(^_^;)"ぼろは来てても心は錦"の心意気ですw

- 作者: 真山仁
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/06/12
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