日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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「企業買収―会社はこうして乗っ取られる」を読む。


企業買収―会社はこうして乗っ取られる (新潮OH!文庫)
鷲尾香一著・新潮OH!文庫

 新潮OH!文庫って、いままで新潮文庫にはないサブカルチャーを扱う文庫でした。結構面白いラインナップで「オタク学入門」(岡田斗司夫)や「津山三十人殺し」(筑波昭)なんかを新刊で読んだっけ。調べたら03年を最後にこのレーベルでの文庫新刊は出ていないみたい。


 企業買収(M&A)が話題になったのは、堀江貴文ニッポン放送買収(05年)、その前年に真山仁の「ハゲタカ」(テレビドラマは07年)の頃。この本は、更に前に2002年に刊行されてます。

 資本主義社会において、金を多く持っているというのは正義だと思う。「会社は誰のものか」という問いに従業員だのお客様だの関連するすべての人々などというのは詭弁でしかない。資本主義的視点からいえば、会社は明らかに株主のもの。お金を出した人が経営者に会社を経営させ、お金を増やす。ただそれだけの事。その出資者=経営者なら「この会社はおれのもの!」というのもありだけど、上場企業の経営者は沢山の出資者に経営を任された要は雇われ社長。株主が気に入らないければ経営を任せられない。従業員のことなんて株主は考えない。従業員は経営を助ける末端の道具でしかない。
 「ハゲタカ」や先日読んだ「ロスジェネの逆襲」を読んでいると、改めて自分は資本主義社会にいるんだよなって思う。毎月お給料をもらってそれでなんとか生活をしてっていう人生とは違うハイリスクハイリターンを地で行くような流れが間違いなくある。「住む世界が違う」というやつだ。そういう世界に対する興味はありますが、今更その流れには乗れない。結局市井の人として人生を生きていくしかありません。だから、ノンフィクションであっても自分としてはフィクションとなんら変わりはない本でした。ただ現実として間違いなく企業買収はあり、その影響が自分に降りかかってくることもないわけではなく、そういう意味では、知識として知っておくのは悪くないかもしれません。
 でもま、この本は今でいうところの薄い教養新書みたいなもんなので、内容的に掘り下げが足りない。とっかかりとしては良いですが、お話としてなら「ハゲタカ」の方が面白いし、内容的にも参考になります。