弓篇に"ム"と書いて弘。
正直、あんまし好きな名前じゃなかったんです。字は違ってもいっぱいいるし。博、宏、浩、洋、広…。2文字でも、広志、宏司、博史、浩史…、その他いっぱい。一文字名前はいいんだけど、なんとも"ひろし"って今となっては古い名前。ちびまる子ちゃんの父とかクレヨンしんちゃんの父とか。
ところが最近、ぼーっとネトサしてたら"弘"という字の成り立ちで「「厶」は、「肱」の原字でひじを曲げた形、肱を曲げ弓をいっぱいに引いた様。」とあって、をを!と思った次第。
弓を始めたきっかけは、原田知世ちゃん版の「時をかける少女」なわけですが、自分の名前にも"弓"が入っている、というのも理由の一つ。ちょっと違うけど「アストロ球団」のメンバーがみんな"球"が入っているみたいな。
で、弓篇の隣の"ム"はいったい何なんだろう?と思っていたんですが「「肱」の原字でひじを曲げた形」というものだったんですね。
「肱を曲げ弓をいっぱいに引いた様」というのは弓道では「会(かい)」といいます。弓を身体の中心から割る様に均等に引き分け、弓を持った左手は的に向かって押し、弦を持った右手は的と反対方向に押し引きを続けます。弓道を知らない人は弦を引いてるって言いますけど、正確には作用反作用の法則通り、弦を引いてる力と等量の力で弓を押しています。弓と弦が満月のように円相を創る。この状態の時って、外見上は動きはないけど、弓を引く動作の中でもっとも力を使ってます。和弓を引いてる時に最も綺麗で一番の見どころって感じです。
この、見た目は静かな状態でいながらもっとも力を使っている状態、その状態を持続するために縦に伸び、横に伸びている状態、これが"会"。こんな感じね↓
(https://kyuudouq.com/より転載)
その後「離れ」となり、矢が飛んでいく。「会」は「会者定離」という仏教用語から来てます。「離れ」は離すのではなく出会ってからお互いを極限まで高め、伸ばし相ってきたことが一つの大きな成果となって達成される瞬間のこと。
離れる瞬間まで一生懸命なお付き合い。それが「会」という状態を作る意味なんですね。その「会」を表している名前。それが「弘」。会意形声文字というらしい。
弓を始めたのは、ずいぶん大人になってからでミーハーな理由でしたが、やるべくしてやってると思い込める理由がみつかってめでたしめでたしです。