第71回カンヌ国際映画祭の授賞式が現地時間19日にフランスで行われ、コンペティション部門に出品されていた是枝裕和監督作『万引き家族』が最高賞となるパルムドールを受賞する快挙を成し遂げた。日本人が受賞するのは1997年の今村昌平監督作『うなぎ』以来21年ぶり。(中略) 『万引き家族』は、東京の片隅で暮らす、犯罪でつながったある一家の姿を通して、本当の家族の絆を問う人間ドラマ。是枝監督が、「この10年間考え続けてきたことを全部込めた」という渾身作で、リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、樹木希林、子役の城桧吏と佐々木みゆが出演。日本では6月8日より全国公開される。(シネマトゥディ5/20(日) 3:19配信)
是枝監督は、2004年の『誰も知らない』で、柳楽優弥くんに史上最年少の男優賞獲得、2013年に福山雅治が主演した『そして父になる』で審査員賞を受賞していました。そして満を持して作品賞。日本の映画が海外で評価されるのはうれしい限りです。
映画というと、英語圏を中心に大きな市場を持つハリウッドに派手なエンターテインメントで勝てるわけはない。時代的には黒澤明監督の「七人の侍」がピークでしょう。一方で、日本映画は溝口健二監督や小津安二郎監督のように抒情的な小品がこれまでも世界で認められてきた。やっぱ、映画といえばハリウッドがお手本のようになっているけど、日本語という特殊な言語、世界的にも異質な文化を持つ日本で作られる映画では、ハリウッド的な作品では太刀打ちできない事を映画界も知っているはずなのに、ハリウッドの二番煎じ、三番煎じを作っている。
最近はCGの質も上がり、監督の作家性も重視されるようになってきた。自分的には、山崎貴監督作品は、ハリウッドには到底かなわないものの日本的なSFXの使い方はすごく好きだし、「STAND BY ME ドラえもん」のCGアニメは、ピクサーやディズニーのものより好きです。「シンゴジラ」のような特撮作品も海外では理解されなかったようですけど、マーベルコミックスの映画のガチャガチャした映画よりもカタルシスを憶えました。
映画の評価というのはあくまで個人的なものですが、商売として考えた場合評価を受けるに越したことはない。とはいえ、カンヌで最優秀賞を取ったからといって、海外バジェットが付き大予算で映画が作れるということでもない。黒澤監督が世界的に高い評価を受けてハリウッドで撮ろうとした「暴走機関車」も、その前に日米合作で撮影までスタートしていたのに交代させられた「トラトラトラ」も結局日の目をみなかった。ハリウッドで成功した日本人監督なんて「呪怨」の清水崇監督くらい。
日本、日本人監督でもいい映画は作れる。ただ売れる映画=いい作品というわけではないところが映画の難しいところ。
今回のパルムドールをきっかけに邦画に脚光があたるとよいなぁと、邦画ファンとしては思うのであります。