リンダブックス編集部編
1冊に12編入っていて既に10冊以上読んでいるから、100話以上のなみだの物語を読んでいる事になるんだなぁ。
もともと「99のなみだ」はゲームノベルで、その日の体調や気分を入力すると自分にあった10分程度の物語を自動的に選択してくれるというnintendoDSのソフトでした。それから派生して文庫本やソフトカバーになって沢山のシリーズが出ています。いったい何冊出てるんだろう。気が付くと買って読んでいます。
涙腺が緩む20ページ弱の短編が集まって1冊になっている構成。悲しい涙ではなく、感謝のなみだ、深い愛に対しての涙で、読後感がどれも良い。しかも感情移入できるシチュエーションですと心が揺さぶられ、鼻の奥がつーーんとなり、目に涙が溜まってくる。そもそも通勤読書のわたくし、電車の中で朝からいいおっさんが涙を流している姿は不気味。本を読んで泣いているというよりも情緒不安定なんじゃないかと思われてしまいますので注意が必要です。
今回の本は以下の12編。
・元気な姉が交通事故で車いす生活になりいつも姉の後をついてきていた弟との交流を回想する「弟の背中」
・連れ子との親子関係に悩む父親の話「親父になった日」
・親子の関係に悩む、素直になれない娘の話「お母さんは人気ブロガー」
・婚活パーティに行ったら同僚がいて…「婚活中」
・親が雇ったちょっと変わった東大生の家庭教師と少年の話「なりそこない2号」
・男手一つで育てた娘と父のドライブでの話「鋸山へ父と」
・姉の死に駆けつける弟が知る姉にまつわる話「ずるいよ、姉ちゃん」
・養護施設から引き取られた娘と養母との関係「恋文」
・余命6ヶ月宣告を受けたサラリーマンの話「六ケ月のプレゼント」
・地方から出て寝る間もないほど忙しいADの女の子と母親の話「母の魔法」
・小学生の頃のいじめっ子との交流「放課後のセッション」
・妊娠した女子高生と助産師との話「おめでとうございます」
親子関係にまつわる話が多かったので、結構シンクロして泣けてきました。自分は親子関係という意味では非常に面倒に感じており、生前優しくしたことは殆どなかったなぁ。親は自分の考えがすべて正しいと思っていて、それを押し付けてくるのが嫌でたまりませんでした。なので親元を離れてからは年に数回帰る程度。行けば行ったでいつでも口煩く、正直居心地の良い家でありませんでした。
親にしてみれば、旧来の家族関係、私が地元で就職をして嫁と孫と自分たちと3世代が一つ屋根に住むことを期待していた節があります。でもあの親と一緒に暮らして干渉がずっと続いていたら、事件になっていたかもしれません。なので、お互いの為にも離れて暮らしていたのはよかったと思います。
ここにある物語のような親子関係は理想でしたねぇ。お互いに距離を測りながら、最後は打ち解け合う。それはお互いの歩み寄りが必要でしたが、うちの場合、結局最後まで親は歩み寄ることなく、私も親の思い通りには生きられなかった。親はそういう思いを諦めたんじゃないかと思います。
親を反面教師として、自分は子供たちにできる限り干渉をしません。それでもカミさんは干渉しているというし、子供たちも干渉されていると思っているらしい。なんにも言わないのにね。
息子は、うちはシェアハウスのようだといいます。
正直それでよいと思う。そういう子育てでも2人ともグレることなくまっすぐ育ってくれたのは有難い限りです。
居心地の良い家は理想です。そう感じてくれていればよいなぁ。私は結構居心地よいです。私たちの年代は"家に帰りたくない"年代と言われますが、私まったくそんなことない。会社が終われば寄り道せず早く家に帰りたい派ですw
99のなみだ・雲―涙がこころを癒す短篇小説集 (リンダブックス)
- 作者: リンダブックス編集部
- 出版社/メーカー: 泰文堂
- 発売日: 2010/12/01
- メディア: 文庫
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