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「漫画超進化論 」

漫画超進化論 (河出文庫)

石ノ森章太郎著・河出文庫/河出書房新社
表紙が009なのでつい買ってしまいました(^_^;)。
初刊は1989年3月。平成元年に出た本が令和元年に再刊文庫化されるというのはなんとも感慨深い。といいつつ初刊時は読んでいません。
この本は、石ノ森章太郎が、小池一夫藤子不二雄A、さいとうたかを手塚治虫と対談し、漫画の過去現在未来を聞き出し、最後は石ノ森章太郎が受け手となって語る。既に座長の石ノ森章太郎小池一夫手塚治虫はこの世になく、この2人の漫画に対する想いに接するだけでもこの本を読む価値があります。更に、漫画原作者小池一夫)、プロダクション形式で作品を作り続けるさいとうたかを、石ノ森のトキワ荘時代からの盟友、藤子不二雄Aのお話しは、それぞれの立ち位置から漫画に対する考えが聞けるのも興味深い。
 30年前の本なのに、30年後の今を正確に見ている手塚治虫はやっぱり天才だったんだと思う。この中で手塚治虫は、漫画出版業界についてこのような事を言っていました。
 「出版業界が崩壊するというアクシデント。もっと違うメディアが世界を席巻する。テレビなんかは時代遅れで、もっと違うメディア。そうすると出版なんていうのは、つまり活字文化とか、印刷文化とかいうのは自己崩壊してしまう。そういうことも起こりえると思うんです。」
 インターネットが一般で使われるようになったのが1994年頃。それでも通信速度は遅く、メディアと呼ぶには程遠かった。そして 30年後の今は、気軽にオンデマンドで映画を観たりでき、電波を受信する受像機としての役割よりも、映像を映し出すモニターとしての役割でうちはテレビが活躍しています。
 出版不況が始まったのも90年代末頃。今や町の書店はどんどんなくなり、本を買うのも一苦労。弱小出版社はつぶれ、雑誌は次々と廃刊。それに代わり電子書籍も徐々に台頭してきています。

 戦後の漫画第1期世代は、月刊雑誌から週刊雑誌に切り替わる時に大きな世代交代があった。トキワ荘の世代の台頭し、60年代後半から70年代、各雑誌の枠を超えてアニメ化もされて黄金時代となる。そして80年代の百花繚乱時代を経て、今や漫画に限らず雑誌は風前の灯火。
 かつてはキャラクターをまず考え、そのキャラクターを動かすために周りの登場人物、シチュエーションを考えた時代から、ストーリーが作りたかったというトキワ荘メンバーは、週刊化の時代が来ても原作を付けて絵描きに徹する事を良しとせず、すべて自分で考え描いていた。とはいえ原作に巻き込まれず単なる絵描きにとどまらず時には原作者と意見を戦わせ大傑作を生んだちばてつやのような人もいるから一概に原作付きだからよくないということはありません。
 一方で漫画を映画と同様に表現媒体と考えたさいとうたかをも、手塚や石ノ森とちがう漫画へのアプローチ。勿論絵も描きますがどちらかといえば監督的立ち位置になり作品を生み出し続けている。

 最近は当時の漫画家さんのようにいろいろな作品を描く人は少ない。ヒットすれば延々と同じ作品を描かされる。「名探偵コナン」「ワンピース」古くは「ドラゴンボール」当たった作品は数十巻続くのは当たり前。その一方でヒットしなかった作品は単行本化もされず、されても少ない刷り部数、そして漫画家さんは次作を描くことなく消えていってしまう。ほんと漫画業界って使い捨ての最たるものです。

 自分が歳をとったということも理由と思いますが、勿論例外はあるにせよ、前世紀までの漫画の方が面白いなぁと思います。

 漫画の過去現在未来に興味のある人はお勧めです。

漫画超進化論 (河出文庫)

漫画超進化論 (河出文庫)

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