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「百年法」

百年法 (上) (角川文庫)百年法 (下) (角川文庫)
山田宗樹著・角川文庫上下巻

 不老不死は人類の夢。果たしてそうなのだろうか。ここのところ寄る年波に勝てず、節々が痛いし、気力体力とも若い頃にはかなわない。20-30代くらいのまま不老だったらどんなに楽しい人生かと思うことはたしかにある。では、そういう世界が現実となったらどうなるんでしょう。そんな実験的な物語。

 原爆が6つも落とされて終戦を迎えた現実とは異なる日本。共和国制となり大統領、首相がいる。終戦とほぼ同時期に開発されたヒト老化不活性化処置<HAVI>により、人は不老不死を手に入れる。と同時に、生存制限法「不活性化処置を受けた者は100年をもって生存権をはじめとする基本的人権はこれをすべて放棄しなければならない」という法律を同時に制定する。所謂<百年法>と呼ばれるこの法律によって、社会的な寿命が決められる、というわけ。
 この<百年法>をめぐり、政府、官僚、庶民の視点で物語は進んでいきます。20歳になるとHAVIを受けられる。HAVIを受けた人は受けた年齢の容姿を保ったまま人生を送る。ただ理想の世界とは裏腹に、世代交代のない社会は停滞する。そして初めての処置から100年目を数年後に迎える2048年、<百年法>施行の是非を国民投票に委ねることに。ここまでが第1部。
 この後社会的な問題や、不老不死という本来人間が持ってはいけないものに対する自然の反旗があるわけですが、もし不老不死の社会が到来したら、自分はどう生きるか、社会はどうなってしまうのかという問題から、最終的には、生きていくために本当に必要なものは何かについて、描かれていきます。

 上下巻合わせて950頁を越える大作ですが、その長さを感じさせません。
 それは、政府、官僚視点のみではなく、そこで生きる私たちと同じような、何の決定権もない人々の姿、意志がしっかりと描かれている点にあると思います。

 もし自分が不老不死を手に入れたら。そして100年後に病気やケガではなく法的に死を宣言されるとしたら。
 そして間近に迫った自分の死に対して、自分はどう生きていくか。

 そういったものを考えるよい機会になったと思います。

 長いですが、お勧めです。 

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百年法 (上) (角川文庫)

百年法 (上) (角川文庫)

百年法 (下) (角川文庫)

百年法 (下) (角川文庫)