五十嵐隆久著・幻冬舎文庫
ずいぶん前に買ってたんですけど積んでました(^^;)。
2006年にTBS日曜劇場枠でドラマ化(パパは舘ひろし、ムスメはガッキー)されていたのは知っていたのですが、未見です。
鉄道事故をきっかけに、パパとムスメの人格が入れ替わり、性別、生活の異なる2人がどうやってなん愛を切り抜けていくか、そして2人の人格は元に戻るのかといったコメディ。
大林信彦監督の「転校生」、大ヒットした新海誠監督の「君の名は。」、昨年放送された同じ日曜劇場枠、綾瀬はるか・高橋一生主演の「天国と地獄〜サイコな2人〜」など人格入れ替わり作品はありますが、これらの作品に共通するのは、人格が入れ替わった経緯よりも、男女の性差や立場の異なる2人が次々と出てくる問題をどうやってクリアしていくかと、人格が元に戻った後の2人の関係の変化にあります。「天国と地獄」は戻った後にまた入れ替わった?という描写がありましたが、戻らないっていうのは基本ありません。
かように、人というのはどんなに関係性が強い人であっても人格が入れ替わることで混乱をします。当たり前ですけど。それが、性別、年齢、立場が異なればなおのこと。
ただどうしても似たような物語になりがちなので、工夫が必要です。
「君の名は。」では、男女×地方と都会×数年差
「天国と地獄」では、男女と警察×容疑者
そして、「パパとムスメー」では、男女×年齢差と親子
立場が異なれば、問題も多くなってきます。
うちもご多分に漏れず、ムスメの年齢が上がるにつれて会話は激減しています。とはいえ、自分も親とはほとんど会話らしい会話をしなくなっていました。
世代間のギャップはいつの時代もあり、それは容易に埋められるものではありません。当然性差も同じです。
だから、こういったファンタジーを空想の産物と一蹴してしまうか、相互理解のきっかけに繋げるかは読む人の心落ち次第です。
ただ、こういった物語が紡がれること、そしてなんだかんだ言って愛され続けるのを見ると、実は、みんなそういうギャップを感じ、埋めたいと思っているからに相違ありません。
お互いにお互いの気持ちを分かり合える。そんな世界が来るとよいかもしれません。