(既に公開から2ヶ月経過していますので、ネタバレ含みます。)
年末年始休暇2日目は、「すずめの戸締まり」3回目を観てきました。
今回は入場者特典の小説・「すずめの戸締まり」のスピンオフ「環さんのものがたり」が配布されるということで…。
環さんは、主人公鈴芽の母の妹。311で被災し母を亡くした鈴芽を親代わりとして育てています。
図らずも要石を開放してしまい、椅子に姿を変えられてしまった草太くんを元に戻すために、”ダイジン”を追いかける鈴芽を心配して環さんも鈴芽を追いかける。
東京で鈴芽と合流した環さんは、草太の友人、芹澤の車で、鈴芽、”ダイジン”とともに鈴芽の家のあった東北に向かう。
途中で姿を現した”サダイジン”は、日本に2つあるもう一つの要石が大猫の姿となったもの。”サダイジン”は、鈴芽が草太を救う為に東北に向かい、扉を開けることで出てくる”ミミズ”を鎮める役割を担っていた。
”サダイジン”は環さんに入り、環さんが心の奥底に溜め込んでいた”想い”を鈴芽にぶつける。「私の人生を返して!」と。それは本心だけどもちろんそれだけではない。だけど今まで口に出せなかった”想い”であることは間違いない。
この物語は、「君の名は。」や「天気の子」では、モチーフ程度の扱いだったものが、現実の災害や今後起こりうるであろう災害(南海トラフや首都直下型地震)を直截に描いているので、”感動”の一言では語ることができません。
すでにあった東日本大震災や熊本地震で実際に被災し家族友人をなくした人にとっては悲しみを思い起こさせる場面が随所に出てきます。
311以降、震災にまつわる映画やドラマが作られてきました。この10年、すべてのクリエイターはあの震災に対し、どのように向かうかという立ち位置を試されていたといっても過言では有りません。
そして10年以上経って、あれだけ大きな災害が風化しつつあるという今、改めてこの作品を世に問うことで、あの震災にあったすべての人々とそれを見知っている人々にいま一度災害に向かう心を呼び覚ますことをしているのではないかと思います。
天災は忘れた頃にやってくる。防げるものでは有りませんが、どうやってその悲しみを迎え乗り越えていけばよいか。それを教えてくれるのが、「すずめの戸締まり」であると思います。