鈴木敏夫著・新潮新書
スタジオ・ジブリを作品ではなくマーケティングの面から語られた内容で、とても興味深く読めました。どんなに素晴らしい職人、製品であってもそれが多くの人に知られられなければ隠れた才能、作品になってしまう。どのようにして自分の惚れ込んだ作品を多くの人に観てもらうか。そして次の作品を生む原資を生み出せるか。
その一方で、宮﨑駿監督最新作「君たちはどう生きるか」は、これまでのマーケティング手法を一切廃止し、逆に「”宣伝をしない”という宣伝」、パンフレットすら上映初週はただのイラスト集で、一般的なストーリー解説、声優の紹介が書かれているパンフレットは上映スタート1ヶ月くらいして売るという徹底ぶりで逆に大当たり。挙句の果てに、第96回アカデミー賞でアカデミー長編アニメ賞を受賞してしまう。
それはジブリブランドというより宮﨑駿作品がブランドになったからに相違ない。
ジブリ作品に外れなし、とは思いませんが、宮﨑駿監督作品は「未来少年コナン」から最新作「君たちがどう生きるか」も含め、外れはない。といいつつ、「紅の豚」「ハウルの動く城」「崖の上のポニョ」は観ていません。「紅の豚」はお話しがどうも合わない。「ハウルー」は声が…。「ーポニョ」は5歳の女の子が主人公で誰にも感情移入ができない為。その一方で「未来少年コナン」は全26話を何回も観てるし、「ルパン三世カリオストロの城」はセリフもカット割も音楽のタイミングも全部覚えてるくらい好き。「千と千尋の神隠し」は千尋がハクからもらったおにぎりを食べながらボロボロ涙を流すシーンは必ず一緒に泣いちゃいます。
いつも飄々としている鈴木プロデューサーが実に計算高くプロモーションを展開していることが手に取るようにわかる、これはある意味プロデューサー入門書といってもよい。
ジブリ作品がヒットを連発する理由がここにあります。