福井晴敏の小説によく出てくるDAIS(防衛庁情報局―Defence Agency Information Service)のお話。文春文庫上・中・下巻総頁数1,403頁。長っ。
福井晴敏は、ターンAガンダムのノベライズ(月に繭 地には果実)や最近は「機動戦士ガンダムUC」などを書いており、ガンダム好きで有名。この作品も何かに似てると思ったら、「機動戦士ガンダム」(1st)に似ています。
東京にいても臨海副都心は人工的で生活感の全くないの虚構のような都市でまったく馴染めない。そこをキーに防衛庁の秘密組織に反旗を翻したグループによるテロが行われる。対するは、そのチームの元仲間と閑職に追いやられている警視庁警部補。
これが週刊文春で連載された時、クライマックスのお台場テロシーンに行きつく前で終了していたとのこと。単行本化した時に実に原稿用紙800枚(ほぼ文庫下巻全部)を追加。それって、「続きは映画で観てね」っていう某ライダー映画みたいじゃん。
戦後アメリカの庇護のもと、何も一人で決められない日本に対し、目覚めを促すというのは、デビュウ作「Twelve Y.O」から一貫したテーマ。私的にも同感だったりするので、「Op.ローズダスト」のテロリスト側に正義があるような気がしてならない。
確かに暴力を肯定することはできないし、力で体制を変えるというのにも限界はある。それでもなお、それに挑もうとする若者を誰が責められよう。顔色をうかがったり、政治的決着と称して波風を立てないことが本当に良いことなのだろうか。
面白い小説でしたが、この純粋なテロリストの気持ちに対する体制側が理論を持っていないことが、主人公に感情移入ができず、逆に、決してほめられたことをやっていない敵側を応援したくなるという想いになり、自分の中で整理がつけられないまま読み進めていたので、結構つらかったです。
長いので、「DAIS」ものを読まれた方にはお勧めしますが、ここから入るには重いかもしれません。
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