価値の有りそうな会社を安値で買い叩きその後売ることで短期的に利益を上げる投資ファンドの凄腕、鷲津政彦を主人公にした経済小説「ハゲタカ」の続編。前作(「ハゲタカ」「バイアウト(文庫化の際に「ハゲタカIIと改題)」)は、NHKでTVドラマ化され、今作を原作にNHKで初の映画化されました。
私は最初TVドラマから入りました。久しぶりの骨太なドラマ、俳優さんの演技も良く、毎回楽しみに観ていました。TVと原作は、主人公鷲津政彦のキャラクター設定が異なっています。その他の登場人物も設定が変わっていたり、扱われ方の重軽があって、全く別の作品と考えてよい。
さて、この「レッドゾーン」も映画化されたものとは内容が異なります。映画は、中国の国家ファンドが民間ファンドを隠れ蓑に、日本を代表する自動車会社「アカマ」にTOBをしかけるところから始まりますが、原作では上巻の最後でアカマ自動車にTOBが掛けられます。
今回の映画は、2007年のドラマ化終了後に企画されましたが、クランクイン前に「リーマン・ショック」が起こりストーリーの8割を書きかえることになったそう。その、元となった部分が原作では色濃く残っている感じ?
TVの鷲津(大森南朋)の造形も好きですが、どうしてもマスクが甘い為、"できる男"に見えない。無理して冷酷な男を自作自演している感じとでもいえば良いのか。もっともTV版はそういうキャラだけど。TV版の鷲津も人間的な弱い部分が良く表れていて好きですが、小説の方が更に内に秘めたキャラでいいです。ジャズピアニストとして渡米した男がファンドに見いだされメキメキと頭角を現してくるっていう設定も良い。
さて次巻。どういう展開になるのか。映画は観ていますが全く異なる展開に期待。

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