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「009 RE:CYBORG」 を読む。

 神山健治/福島直浩 角川書店・ソフトカバー


(既にロードショウはほぼ終わりかけですのでネタバレ要素含みます。)


 映画ノベライズ。
 009は3度目の映画化。今回は原作をモチーフにキャラクター造形、ストーリーを現代に合わせRE:BUILDされました。これが吉と出るか凶と出るかが、ヒットの鍵でした。いろいろとネットで観ていると、私のようなコアな009ファンでも今回の映画は賛否両論。特に、このストーリーは、原作当時の冷戦構造下、勧善懲悪のサイボーグ009ではなく、現代の誰が敵かも判らない疑心暗鬼渦巻く世界を舞台としているから、判りにくいことこの上ない。かつては小さな国連軍として活躍していたのも遠い昔。冷戦終結後、支援の手は次々に打ち切られ収入が激減したギルモア研究所(財団)を”解雇”され、袂を分かった002、007は夫々の国の諜報部に属し、004はドイツ軍特殊部隊の訓練教官をしている。006は、ギルモアと商標権の係争中だったりする…。008は考古学者として、遺跡発掘を仕事にしているが、そこで背に羽の生えた"天使の化石"を発見する。

 先ごろ小説で完結した「天使編/神々との戦い編」のモチーフを主軸に置きながら、その全体像には全く触れない。途中の009の記憶を戻す為の005による襲撃は、「幻魔大戦」の東丈を彷彿とさせるし、最後も「地下帝国ヨミ編」(というか、B/W版最終回「平和の戦士は死なず」)をインスパイアしたような、009成層圏でのミサイル破壊と002による救援。
 そして何より、00ナンバーサイボーグが勢ぞろいしないのは、やっぱり009ファンとしてはいかがなものかと思う。ピュンマに至っては、せっかくかっこよく造形されたのにその能力すら開示しないまま舞台から消えちゃう。。そもそも部分改造の試作サイボーグが敵の強大な力に勝つのは、9人によるチームワークの賜物で、009がそれまで試作された研究の集大成で完全サイボーグ(に近い)からではない。
 
 彼らが現代にいたら…というスペキュレーティブな試みは面白いし、老いたギルモアとその子どものような00ナンバー達との確執もリアルな親子関係を模していて面白い。ここら辺は、映画よりも小説版の方がより深く描写されています。


 とまあ色々と書きましたが、基本私は”あり”です。どんな作品に仕上がったとしても、自分がすきな小説や漫画を映像化してくれてたくさんの人に観られるようになるのは、それはそれで良い事です。とんでもない駄作に仕上がったとしても、それで原作も駄作と思う人はいないでしょうから、それをきっかけに原作に触れる人もいるかもしれないし。
 今回の009は、009本来の良さを出しているとは決して言えませんが、009というフォーマットを使い、様々なクリエイターがその映像化に挑戦するというのは良いことです。作者によっては、映像化は原作に忠実なものしか認めないなんて人もいますけど、石ノ森章太郎作品って映像化されたものもたくさんあり、そこら辺の許容範囲は結構広いんじゃないかなと思ったりもします。
 
 今回の「RE:CYBORG」収支はどうだったんだろう。EVA程ではないけど、タイアップも結構あったので赤ではないはず。せっかくリビルドしたのだから、このキャラクターで後数作は作って欲しいし、今回の新設定を活用した00ナンバー達の前日譚、後日譚も観てみたい。映像化が難しければ、小説によるスピンオフでも結構。

 小説版は、アニメシナリオライターの福島直浩さんによるノベライズ。映画を先に観ていることもあり、一気に読めました。
 映画を観た人、009ファンにはお勧めです。

 

009 RE:CYBORG

009 RE:CYBORG