日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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祝婚歌


 1月15日、詩人の吉野弘さんが亡くなりました。
 吉野さんの詩で「祝婚歌(しゅくこんか)」っていうのがあります。
 詩には著作権があるので、個人Blogであっても安易に掲載してはいけませんが、吉野さんはこの詩に関しては、緩やかに考えていらしたようです。以下は田中角栄の元秘書、政治評論家の早坂茂三さん(この人も亡くなっちゃいましたね)との対談から抜粋です。


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早坂 吉野さんは「祝婚歌」を「民謡みたいなものだ」とおっしゃっているように聞いたんですけど、それはどういう意味ですか。
吉野 民謡というのは、作詞者とか、作曲者がわからなくとも、歌が面白ければ歌ってくれるわけです。だから、私の作者の名前がなくとも、作品を喜んでくれるという意味で、私は知らない間に民謡を一つ書いちゃったなと、そういう感覚なんです。
早坂 いいお話ですね。「祝婚歌」は結婚式場とか、いろんなところからパンフレットに使いたいとか、随分、言って来るでしょう。 ただ、版権や著作権がどうなっているのか、そういうときは何とお答えになるんですか。
吉野 そのときに民謡の説を持ち出すわけです。 民謡というのは、著作権料がいりませんよ。 作者が不明ですからね。こうやって聞いてくださる方は、非常に良心的に聞いてくださるわけですね。だから,そういう著作権料というのは心配はまったく要りませんから....
早坂 どうぞ自由にお使いください。
吉野 そういうふうに答えることにしています。
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『人生の達人たちに学ぶ〜渡る世間の裏話』(早坂茂三著:東洋経済新報社刊)より


というわけで、是非皆さんにも読んで欲しいのと、自分が忘れない為に、全編掲載させていただきます。



 「祝婚歌」         吉野 弘


二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気付いているほうがいい
完璧をめざなないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい
二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで 疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には 色目を使わず
ゆったりゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で 風にふかれながら
生きているなつかしさに
ふと胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そして なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい



結婚をしている人も、これから結婚をする人も、是非この詩を読んで欲しいと思います。
夫婦関係上手く行っていない人もこれを読むと何か感じるところがあるかも。。


享年87歳、ご冥福をお祈り申し上げます。