1979年角川映画・村川透監督
戦後の混乱期に「光クラブ」という金融事件がありました。代表は東大生の山崎晃嗣。混乱が落ち着きはじめ物価統制令違反で逮捕されると業績が急激に悪化、債務不履行で山崎は青酸カリ自殺をしてしまう。この実際にあった事件をベース(映画では「太陽クラブ」)に、その残党だった鶴岡八郎(夏木(夏八木)勲)を中心としたグループが、数々の詐欺事件を起こすというピカレスクストーリー。
当時の東映は、実録ヤクザ映画が一段落した頃。出てくる役者がやくざ者を演じたひとばかりで、どう見ても堅気には見えない。騙される成田三樹夫、地検の室田日出男、腹に一物持ってそうな佐藤慶を見ても、「どう見ても騙される方が悪いんじゃね?」と思ってしまい、当然、肩入れするのは夏八木勲の方だったりします。鶴岡を追いかける東京地検の検事、天地茂も肩入れするには目つきが鋭すぎて怖い。鶴岡の暴力ではなく"頭"で金をつかんでいく姿は見ていて決して嫌ではありません。そういう夏八木に惚れる女、綾香(島田陽子)もすごく綺麗。この時が島田陽子の絶頂期だと思う。
ダウンタウンブギウギバンドの音楽も良い。上映時間は2時間半を越えますが、飽きずに最後まで一気に観れます。
メディアミックスで売れてはいましたが、決して当時は作品的評価は高くなかった角川映画も30年以上経過をして、やっと"こなれてきた"感じ。時代が追いついてきたのかもしれません。
TSUTAYAでは、今「昭和キネマ横丁」として昭和の名作を続々レンタルしていてこれもそのうちの1作として初レンタル化されていたもの。「白昼の死角」は昔ビデオで見たことがありますが、こうして昭和の名作を掘り起こしてくれる企画はとても有難い。良い時代になったものです。。