日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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「犬神家の一族」愛のバラード


あまり知られていないけど、大野雄二作曲の「犬神家の一族」のメインテーマには歌詞が付いていて、「愛のバラード」というタイトルで金子由香里が唄っています。

昭和歌謡の名作詞家山口洋子が描きだしたのは、残酷極まりない事件の中にある愛の風景でした。
以前もこのblogに書きましたが、この歌詞は母の殺人を巧みに隠蔽する佐清(すけきよ・あおい輝彦)を愛し続けた珠世(島田陽子)のことを唄っているようにも聞こえるし、戦争に送りだした最愛の息子を待つ母松子(高峰三枝子)の心情を歌ったようにも聞こえます。
映画のオープニングに流れるこの曲はインストゥルメンタルで、勿論それはそれでよいのですが、この歌詞付きの「犬神家の一族」もなかなかよい。


で、youtubeでこれを聴いていたら若いクリエイターの方が初音ミクに唄わせていた。
よく聞いたら歌詞が違う。「覆われた素顔  「犬神家の一族」より、愛のバラード・リミックス」として創作をしたらしい。

那須の水面写す 月は心伏せさせ
かわせぬ約束だけを むなしく重ねる

ケシの花を摘めば 今生の別れさへ
蟲にさされたかのごとく 誑かされる

何もかも忘れさり 逃げおおせるのなら
湖面にはじかれた あの小石は魔天楼

斧に殺められて 琴の音に宵どられ
菊の華を粧おう おおわれた素顔

繰り返す過ちを 赦されるものなら
木漏れ日に照らされた この思いは文殻ね

斧に殺められて 琴の音に宵どられ
菊の華を粧おう おおわれた素顔


 なるほどと思う。何となく雰囲気は捉えてそれらしい言葉を並べている。だけど、残念ながら山口陽子の歌詞には到底及ばない。
タイトルからゴムの仮面をかぶった青沼静馬を歌っているような気もするけど、歌詞の端々に、佐清と珠世の事らしい言葉や松子夫人の事を唄っているような歌詞もあり一貫性がない。
サビの「斧に殺められて 琴の音に宵どられ 菊の華を粧おう おおわれた素顔」が一番最初に思いついた部分で、後は思いつくままに言葉を繋げていったのかな。

 もともとある音楽に歌詞を付けていくのって文字数が限られるから大変だと思う。しかし映画のストーリーがあって、なおかつ愛のテーマだから方向性も決まっている。原曲が松子夫人または珠世さんについて歌っているとすれば、出来れば佐清をテーマに歌詞を付けるとか、変化球でいえば静馬を愛する菊乃とか、野々宮大弐と奥さん、犬神佐兵衛の三角関係、佐兵衛が珠世を思う気持ちなどいくらでも愛の形はあるので、そこに焦点を当てて歌詞にするともっと良いと思うんだけどなぁ。


 そう「犬神家の一族」は陰惨な事件ばかりがクローズアップされるけど、実は愛の物語だと、「犬神家の一族愛のバラード」は教えてくれるのです。