小林弘利著・集英社コバルト文庫
「童話を胸に抱きしめて」最終巻。集英社コバルト文庫はライトノベルの先駆け的なレーベルでした。アニメのノベライズも精力的に出版していて、昔結構読んでましたねぇ。大学生ともなると、コバルト文庫からは離れてしましましたので、小林弘利さん作品は後追いで読むようになりました。きっかけは小中和哉監督の「星空のむこうの国」の原作。これは1984年だったので、ここから数作は読んでました。
「童話を胸に抱きしめて」は、昭和61年〜62年にかけて書かれており、大学3年から4年の頃。1巻は新刊で買いましたが、以降は結局買わず。数年前にBOOKOFFで大量にコバルト文庫の小林作品のほぼすべてが出ており、持っていない十数冊を一気に買い揃えることができたのです。
おとめチックなイラストのあるコバルト文庫は、いいおっさんがさすがに電車の中で読むのは憚られます。人の眼を気にしながらの読書は久々に緊張でしたw
さて最終巻。
金沢で半年しか持たない人工太陽"目ざまし時計"を打ちあげた耕平たちは、シャトルの事故から生還した郁美をはじめ科学者たちと共に真の人工太陽を打ち上げる為に一番適した南極にいる。人工太陽の打ち上げに成功するが、その後活動停止した太陽がスーパーノヴァ化し更にブラックホールとなることが分かる。先にその状況を知ったコロニーにいるアメリカ大統領は、地球を捨てて太陽系から離れようと画策、残された地球の人々はどうする?
って感じですが、作者自ら「このお話はハッピーエンドです」と再三言っているので、どんなに厳しい状況であっても全くワクワクドキドキしない。しかしエンディングは、その思いを上回る大々ハッピーエンドで、もう苦笑するしかありませんでしたw 小さなお話ならば許容できる事も、地球規模の大災害を描きながら、そりゃないぜセニョリータと言わざるを得ない。
ただし決してつまらないわけではありません。ハリウッドのSF超大作なんて基本のお話はこの物語と似たり寄ったり。ある意味ビジュアル的にはとてもハリウッド的なお話です。ただSF小説として読むとちょっとつらいかな。
童話を胸に抱きしめて・FINAL (集英社文庫―コバルトシリーズ)
- 作者: 小林弘利,大嶋繁
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1987/12
- メディア: 文庫
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