山本 弘著・角川文庫
運命に翻弄される優歌。兄は"神"の存在に気が付き失踪する。世の中ははより混沌とした様相を呈する。
この世に神はいないのか。
生きているとそういう場面に出逢います。逆に奇跡を神が起こしてくれたとか、良きにつけ悪しきにつけ、神の存在を引き合いに出す。正直昔から胡散臭いと思っていたんですよね。
この世に神なんかいない。無信心なので何かの宗教に縋ろうと思ったことは一度もありません。特に一神教は胡散臭いことこの上ない。「私を信じれば救われる」そんなことを大真面目に言う人がいたらそれは神ではなく狂人です。
造物主という意味ならいるかもしれないと思います。ダーウィンの進化論。これまたどうも信じられません。何億年経っても猿は猿。人間にはなれないと思うのです。そういう意味では、人類はすごく科学の進んだ地球以外の星からやってきたのが元、と言われる方がそうかもね、と思えます。
神は人類に対して悪意も好意もない。
私たちがアリンコに好意を抱くか。特に頑張っているアリンコを助けたいと思うか。アリンコの頑張りをどう判断するのか。そもそも蟻の気持ちは人にはわからない。神ってそんなもん。なのに神様は人間を見てくれているというのがは幻想です。よりよく生きようとすることは、死んでから天国に行くためでも、現世利益を得ることでもないと私は思います。正に死ぬ間際、自分の人生を振り返って「なんだかんだあったけど8割方よく生きたよね」といって笑って死ねればそれでよい。それこそが人生のご褒美。
「神様は見ている」と、このblogでもたまに書きます。それはある特定の神様ではなくて、突き詰めて考えれば"自分の内なる良心"だと自分は思います。例えば、神社にお参りをするのも、十字架の前で手を合わせるのも、そこに祀られている神に対しての祈りではなく、あくまでも自分の内なる良心への問いかけ。
こんな風に神と自分との関係について思考を巡らすきっかけになりました。

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