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「うさぎ幻化行」

うさぎ幻化行 (創元推理文庫)

北森 鴻 著・創元推理文庫

 北森作品には、おいしそうなお酒食べ物の描写がある。
 この物語は連作短編。第3話「祭りの準備」に浅草神谷バーの風景で、こんな一節がありました。
 
 電気ブランを知っているかい。日本ではじめて創られたオリジナルカクテルなんだって。ブランデーベースなんだが、電気ブランなんて面白いネーミングだろう。カクテルが創られた当時は「電気」という言葉がハイカラの象徴だったそうだ。ハイカラなんて言葉もとっくに死語なんだが、この店に限っては妙に新鮮に聞こえるから不思議だね。電気ブランは今じゃこの店(バー)の名物だよ。わざわざ遠くから、これを呑みにやってくる人もいるとか。
 だめだよ、うさぎ!そんなに一気に飲んじゃ……ほら、むせただろう。アルコール度数が総統に高いんだから。まず少量を口に含んで、静かに喉へと流すんだ。それから生ビールをひと口飲んで。口の中を洗うのさ。すごい飲み方だよね。カクテルのチェイサーがビールなんて。職業的……というよっりは専業の酔っ払いにしか、思いつかない飲み方だよ、こいつは。つまみは煮凝りにやはり名物のもつ煮込み。でたらめな取り合わせだって?それがなぜだか合うんだなぁ。早々忘れちゃいけないのが串カツ。たまねぎたっぷりに肉はほんのお付き合い程度。洋がらしをべったり塗って、おもむろにかぶりつく!鼻にツ-ンと辛味が抜けたところに生ビール。ひと息ついて、今度は電気ブラン。それぞれ三杯ずつものめば、りっぱな酔っ払いだね。


 もうね、神谷バー行きたくなってしまいましたよ。

 物語は結構ハード。
 航空機事故で義兄を喪ったリツ子。飛行機の中で残された遺書と音響技術者だった義兄、圭一の残した音風景のメッセージを元に日本各地を訪ねる。採録した先を訪ねていくと殺人事件との関りがある。一方で残された音も細工が施されていて、もう一人の”うさぎ”と呼ばれた女性の影が浮かび上がっていく。そして圭一の死の真相は。。音を切り口とした珍しいミステリで、北森鴻の博識ぶりが光ります。

2010年1月に急逝されたので、もうすぐ10年。世に出た作品は35冊。読んでいないのはあと5冊くらい。特にミステリー好きという訳でもない私ですが、何を読んでも外れがない。48歳という若さで早逝されて本当に残念です。

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うさぎ幻化行 (創元推理文庫)

うさぎ幻化行 (創元推理文庫)