春日 太一著・角川新書
時代劇の”時代”は新しい”時代”を切り開くという意味。と、先日チコちゃんが言ってました。
その時解説をされたのが著者の春日太一さん。「時代劇入門」は春日さんの新刊です。
春日さんは時代劇研究家として活動をされていますが、その肩書から当然なんですが日本映画そのものにも造詣が深い。私が最初に手に取った著作は、『仁義なき日本沈没-東宝VS.東映の戦後サバイバル』〈新潮新書〉で、これがすごく面白かった。その後、『市川崑と『犬神家の一族』』〈新潮新書〉を読み、最近では「町山智浩・春日太一の日本映画講義 戦争・パニック映画編」「同 時代劇編」、奥山和由プロデューサーのインタビュー集「黙示録 映画プロデューサー・奥山和由の天国と地獄」と、どれも面白く読ませて頂いています。
この本は、時代劇研究家として昨今の時代劇の少なさを憂い、
・時代劇を観たことがない
・時代劇ってなんか苦手
・時代劇って難しそう
・時代劇に触れてみたいけど入口が分からない
そんな方のために書いた入門書。
とご本人自らtwitterで仰っておりました。
私、65年生まれなので、毎日どこかの局で時代劇をやっていた時代、多感な青春時代を過ごしており、それこそ沢山の作品をみて育ちました。
大河ドラマも意識してみるようになったのは「花神」くらいから。小さい頃は「水戸黄門」も好きでした。高校生の頃は「必殺」シリーズ、中村主水の「仕事人」シリーズも嫌いではありませんが、特にいまだに好きなのは、シリーズ第1作の緒形拳が藤枝梅安を演ずる「必殺仕掛人」。
テレ東の12時間時代劇で内田吐夢監督「宮本武蔵」5部作一気放送は自分が生まれる前の映画なのに、なんて面白いんだと、ハマりましたね。原作吉川英治の原作小説はもとより岩波文庫の「五輪書」まで読みました。
そして大人になってから黒澤明監督「七人の侍」「用心棒」「椿三十郎」をみて、まだこんなに面白い時代劇映画があったのかと目から鱗でした。
私の中でのベスト1は不動で「七人の侍」です。
時代劇大好き!というほどでもないですけど、時代劇の楽しさは分かっているつもりでしたが、この本を読んで更に興味が湧きました。
巻末にガンダムを殺陣の側面から富野監督と対談するおまけつき。
これまで時代劇を食わず嫌いしていた人で、ちょっと興味あるな、という人にもまさに入門書として良いガイドになると思うし、いまさら”入門”なんて…という人にも頭の整理に読んで欲しい労作です。
コロナウィルスで外出自粛の週末、ちょっと意識して時代劇みてみようかな。
- 作者:春日 太一
- 発売日: 2020/03/07
- メディア: 新書