2020年・遊川和彦脚本・監督
遊川監督は、脚本家として「女王の教室」(05年日テレ)、「リミット-刑事の現場2-(」09年NHK)「家政婦のミタ(11年日テレ)」とか、数々のヒットドラマを手掛けています。
現在公開中。
178席の部屋で、10分前まで私一人。その後カップル、お母さんと息子、お一人様の男性と女性の計6人で鑑賞。これは間違いなく赤字。ウイルス感染の不安は100%皆無。そもそも最近の映画館って、空調がしっかりしていて1時間に1回は空気が入れ替わるし、10年くらい前の新型インフルの頃からプラズマクラスターイオンとかを導入していたりして感染に関する対策結構出来ているんですけどね。観る方としてはコロナ問題での自粛が逆に有難いわ。そもそも大ヒット映画はあんまし観ないんで、いつも見る時でも観客は少なめなんですけどね(^_^;)。
この映画、予告編をみて観たかったんです。
30年間(映画では1986年から2020年の34年間)の3月のみを繋げて物語が成立するのか。しかも俳優は変わらないので、主演の波留と成田凌くんは16歳から50歳までを演じる事に違和感はないのか。ここら辺が見どころにもなっています。
基本はラブストーリー。
2人の共通の友人サクラ(杉咲花)は、薬害エイズの被害者で、高校3年の時卒業を迎えることなく夭折してしまう。
プロサッカー選手を目指す太郎(成田凌)、ヘレン・ケラー「奇跡の人」を読み、サリバン先生のように、うまく生きられない子供たちを助けたいと先生を目指す弥生(波留)。
高校卒業後の30年を2人はどう生きていくのか。
家庭の問題、結婚、離婚、30年も経てばいろいろな事が起きます。
舞台は宮城県仙台市。ということは、2011年3月は東日本大震災、津波の被害に見舞われます。
映画の中で面白いのは、携帯電話の変遷。
最初は携帯がなくてすれ違い、公衆電話でのやり取り、その後ストレートの携帯、折り畳み式、スマホと変わっていきます。
2人はお互いに想い合いながらすれ違いを繰り返していきます。
はたして2人は様々な経験をして結ばれるのか。
面白いシチュエーションで、携帯以外にも様々な趣向が凝らされており楽しいのですが、それが逆に気になって、最後泣くまでのめり込めなかったです。
ただ3月桜の季節はやっぱり綺麗。
波留は、思ったほど違和感はありませんでした。こういう凛とした女性は昔から好みですねぇ。
歳をとると、若い頃の熱い気持ちや正義感とかがなくなっていきます。それが大人になる事、と割り切れる人が、上手に生きていくことができる人なんでしょう。私なんて社会人としては完全に落ちこぼれで、既に人生も晩年に差し掛かっているのに大人としての実感はまったくありません。
正義感というほどりっぱなものはないけど、人に迷惑をかけない、出来れば困っている人がいれば助けてあげるだけの余力は欲しい、そして、自分に正直に生きたい。でもそういう生き方って評価やもちろん収入とは縁遠い(^_^;)。
でもま、病院通いは続いているけどとりあえず遊ぶ体力はぎりぎりあって、好きな事もできている今の生活は決して悪いものではないかな。
サクラが好きだった歌「見上げてごらん夜の星を」が、まるで弥生と太郎を結び付けるかのように、なんどか流れます。エンディング後も仕掛けがあるので見逃せません。