日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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「いだてん〜東京オリムピック噺〜」完走。

BSプレミアムで月~水再放送をしていた「いだてん〜東京オリムピック噺〜」何話か抜けたけど完走しました。

 昨年の大河ドラマでしたが、最初の数話を見てリタイアしてしまい観ていませんでした。そもそも私、あんまりオリンピック興味ありません。スポーツ観戦の趣味は全くありません。強いて言えば自分のやってる弓道の試合は観ますが、マイナー過ぎてTVではまずやりません(^^;)。知らない人が見ても退屈だしね。。

 大河初の明治以降~昭和39年までの近現代劇。宮藤官九郎の脚本、老若男女に人気のある俳優の配置、実写を交えつつ凝った演出。しかしながらどれも”過剰”で、従来の大河ドラマファン層とは全く異なっていたためか視聴率は苦戦、歴代の大河ドラマの中でワースト記録を作ってしまいました。

 TVの視聴率と作品の出来は比例しない。しかしながら視聴者を”選ぶ”作品はなかなか受け入れてもらえません。ずっと見ていれば慣れる構成も、1話の中で時代が明治と昭和を行き来したり、本編のオリンピックに絡む話と、志ん生の人生が描かれることで観ている方は混乱をしてしまい、頭の切り替えを求められる。

 日本のオリンピック黎明期から昭和39年のアジアで初めて行われた東京オリンピックまで追いかけるのは面白いけど、いかんせん時代が長すぎる割には描くことが多すぎ、金栗四三を主人公とした1部と東京オリンピック誘致の立役者田畑政治を主人公とした2部に分けたのも視聴者を分断してしまう要因。志ん生の人生はそれだけでも面白いけど、オリンピックと絡めることでより複雑になってしまっている。
 物語が進むにつれて、オリンピックの話と志ん生とその弟子となったフィクションの登場人物、五りんの関係の伏線が回収されて面白くなってくるけど、そもそも志ん生を絡める必要があったのか。

 日本オリンピック物語として、主筋だけで進めてもよかった。
 田畑政治という人物はこの物語で初めて知りましたが、加納治五郎によって先鞭をつけた日本のオリンピック参加をしっかり受けついで東京オリンピックとして大輪の花を咲かせた。これだけでもも充分面白い話でした。

 かつて黒澤明は「七人の侍」を作った時に「ステーキの上にうなぎのかば焼きを乗せ、カレーをぶち込んだような、観客がもう勘弁、腹いっぱいという映画を作ろうと思った」と語ったそうですが、まさにそんなドラマでした。
 しかしなぜ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」は「七人の侍」になれなかったか。
 金栗四三の物語と田畑政治の物語と志ん生の物語が無理やりワンプレートに乗せられたからではないかと思います。

 
 批判めいたことを書きましたが、ハマるとそこかしこにギミックがあるおもちゃのようで、こんなに贅沢なドラマはなかなかありません。タイトルバックの絵柄が、物語の進むうちに何度も変わったりした大河は今までなかったと思います。
 志ん生の奥さんの”りん”を演じた池波志乃は、実際に志ん生の孫娘。1983年東海テレビの連続ドラマ「おりんさん」でも同役を演じていたとの事。

 明治大正昭和のアスリートとオリンピックに賭けた男たちの物語は熱かった。
 民放であれば視聴率が悪ければ話数短縮や打ち切りになりますが、どんなに視聴率が悪くても、俳優の不祥事が起きても、我慢強く最後まで描き切ったNHKは偉い。悪評ばかりのNHKですが、こういう点は評価に値します。

 実際の2020オリンピック開催は風前の灯なので、来年もまた再放送をして、観ていない人に観て欲しいなと思います。