日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

思ったこと、思っていること。読んだ本、観た映画、TV。聴いた音楽…。会社でのこと、家族のこと、自分のこと。日々のうつろいを定着させています。はてなダイアリー開始は2003年、2006年4月から毎日更新継続中。2017年6月8日「はてなblog」アカウント取得、2019年1月「はてなダイアリー」から正式移行しました。アクセスカウンター2019年01月26日まではpv(2310365)です。

「ろくでなしとひとでなし」

ろくでなしとひとでなし (幻冬舎文庫)
新堂 冬樹著・幻冬舎文庫


新堂冬樹作品は、純愛小説の「白新堂」と裏社会や悪人がこれでもかと出てくる「黒新堂」がありますが、この作品はそれが上手くミックスされています。

コロナ禍で社会は停滞。それは出版界も一緒。出版社に勤める編集者の佐伯華は、No2クラスの優秀な編集者なのに出来の悪い後輩ではなく、自分が左遷の憂き目に遭う。実家の食堂もコロナの影響で売上が落ち、酒浸り、ギャンブル好きの父に金を無心されて苦しみは頂点に達し家を出ることにする。そんなとき親友に紹介されたのがマッチングアプリで、年商数百億円の財閥の御曹司と”マッチ”する。華は偽両親を創作し、御曹司との結婚で一発逆転〝上級国民〟入りを目指す…。というお話。

ま、これが「白新堂」ならば、最後はハッピーエンドなんでしょうけど、そうは問屋は卸しません。
悪事はバレるのは世の常。華と御曹司と華の両親、親友のゆき、偽の父親役の元役者の橋本。この6人の登場人物がほぼすべて。
この中で誰がろくでなしで、誰がひとでなしか、最後まで読むと分かります。

真面目に働いて成果も出していた華ですが、政治や家柄を理由に辛酸を嘗めるのはなんともやるせなく、応援したい気持ちになるけど、嘘をついてまで這い上がろうとするのはやっぱやりすぎ。
しかも”マッチングアプリ”で婚活とか安易すぎるし、相手が素性を掴みにくいとはいえ、付き合い始めて婚約、結婚となれば嘘はバレる。まして財閥の御曹司との結婚ともなれば、いくら二人が好き同士であっても結局は「家と家との結婚」になるので、そんな根本的なところを嘘で塗り固めるなんてできるわけがない。

東大生の家は裕福な家庭が多いという。実際、東大生の親の6割以上が年収950万円以上。 日本の平均世帯年収が564万円(中央値440万円)程度で、世帯年収1,000万円以上は上位12.1%であることを考えれば、東大生の親の所得水準は高所得者層といってよい。

つぶれかけの食堂の娘と釣り合うはずもないけど、だからと言って経歴詐称、家族詐称をしていいってことにはならない。
もう少し何とかならなかったかと思うけど、もともとまじめな性格の華は、嘘で嘘を塗り固めていく。

最近は”親ガチャ”(「子供にとって出生、つまり親はランダムで、自分で選べない」という概念)なんて言葉があり、自分の不幸は親のせいなんて考える人も多い。確かにそういう側面はあるにせよ、自分の頑張りで
セレブ入りをする人だってやり方によってはいるわけで、修正不可能なことを他責にしても自分がみじめになるだけ。

運命を従容として受け入れた先にあるものが、決してお金持ちになるとは限らないけど、与えられた駒をどう動かすかの方が、生き方としては正しいんじゃないかと思う。
お金があればあらゆる問題の9割解決するといわれますが、残りの10%にこそ本当の幸せがあるんじゃないかと、小市民の私は思うのでした。
負け惜しみかもしれないけど、人間「立って半畳、寝て一畳」です。

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