北森鴻著・徳間文庫
2016/4に講談社文庫版を読んでます。
講談社文庫で2冊、文春文庫で2冊と出販社違いだったこのシリーズが徳間文庫で装丁を変え再刊されている事を知り、全4巻購入読み始めました。
旗師・宇佐見陶子の屋号が冬狐堂。
陶子さんの美しい容姿、怜悧な頭脳は同じ北森鴻作品の「蓮杖那智のフィールドファイル」(全5冊)の異端の民俗学者・蓮杖那智を彷彿とさせ、美人好きの私的には甲乙つけがたいのですが、蓮杖那智の”ワトソン”が民俗学教室の講師の男性、内藤三國に対し、陶子さんの相棒は同年代のカメラマン硝子さんとのコンビで、美人ペアの冬狐堂シリーズの方が好みかも。陶子さんの方が、人間的な弱みみたいなものも感じますし、東京芸術大学(作品内では国立東都美大としている)の恩師と2年間の結婚生活をしていたというのも血の通った人間って感じでよい。
店舗を持たない古美術商(旗師)の陶子さんが贋作を掴まされる。古美術のプロ(目利き)が騙されるという意味で「目利き殺し」というそう。同業者の売手、橘薫堂(きくんどう)に”目利き殺し”返しを仕掛ける。同時期に橘薫堂の営業にして主人橘 秀曳(たしばなしゅうえい)の右腕だった田倉 俊子(たのくら としこ)が、何者かによって殺害されトランクに詰められ石神井公園で発見される。
陶子の”目利き殺し”返しと田倉俊子殺害が織りなす糸のように絡みあい、最後の解決篇ではなるほどーとうならざるを得ない構成で読み進める手が止まらない傑作です。
殺人事件の謎解きを主とするミステリーは好きなジャンルではないのですが、北森作品は登場人物だけでなく、周辺の描き方が秀逸で、古美術に対してド素人の私が読んでも十分面白い作品です。
さて、次作「狐闇」は、蓮杖那智シリーズとのクロスオーバー。勿論冬狐堂シリーズだけでも楽しめます。
前版の講談社文庫版、文春文庫版は既に絶版されて久しく、たまにBOOKOFFで見かける程度。
今回の冬狐堂シリーズ復刊は新しい北森ファンを作るのに絶好の機会。北森鴻を知らない人は是非手に取って欲しい作品。
(「蓮杖那智のフィールドファイル」(全5冊)も角川で復刊されています)
いろいろなところで何度も言っていますが「北森作品に外れなし」です。

