1979年東宝=キティフィルム 長谷川和彦監督。
19日に引き続き「5時からシネマ長谷川和彦監督特集」長谷川監督2作しか撮ってないからこれで全部。人ごとながら30年以上映画撮らなくてどうやって生活しているのか気になります。
「太陽を盗んだ男」はDVDでは何度も見ているのですが、スクリーンで見るのはこれが初めてでした。映画はやっぱりスクリーンで観ないとね。特にこういうアクションシーン満載の映画は、スクリーンで観るべき作品。
それにしても何でこの映画にこんなに惹かれるんだろう。原発に潜入してプルトニウムを強奪したり、何度撃たれてもゾンビのように犯人を追いつめる刑事(菅原文太)。世界最強の力を手に入れても何をしていいかわからない犯人。野球の延長などどうでもよいし、ローリングストーンズの日本公演だって別に彼は望んでいなかった。
長谷川監督の母上は広島に原爆が落ちた2日後に行き、体内被曝をしている被爆者でもある。原爆を扱いながら、原爆を持て余す主人公城戸誠(沢田研二)。80年代以降に青春時代を迎えた私たちの世代は総じて白けた空気感、何に対しても熱くなれない世代かもしれない。それが、菅原文太扮する旧世代代表の熱い刑事や、更に世代、冒頭の「天皇にお逢いしてお話したい事がある」といって遠足バスをジャックをする伊藤雄之助との対比の妙。ちなみに全然ストーリーには関係ありませんが、城戸先生のクラスの生徒に数人「3年B組金八先生」第2シリーズの生徒が出ていました。
主人公は、ただ原爆を作ってみたかっただけで、その先の事を考えてなかったんだよね。そこら辺の計画性のなさ、無軌道さは私たち世代の特徴かも。もっともそれ以降の世代は更にいろんな事から逃げて、自分の世界が大切、慢性的な他者のとのコミュニケーション不全症候群が蔓延した世代となる。
要は、「太陽を盗んだ男」は鏡として、”お前はこんなでいいのか?”と問いかけてくると同時に、主人公の気持ちにもっとも感情移入できる映画なのであります。
同世代の人で観ていない人必見です。
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