1965年1月生まれの私にとって'64は、同学年の年です。東京オリンピック、東海道新幹線、うちの商品ですが実はユニットバスが生まれたのもこの年なんです。
そんなことはさておき、山崎貴監督の「ALWAYS三丁目の夕日」シリーズの第3作目。これまでは、DVDで見ていましたが、生まれ年(年明けだけど)が描かれるなら劇場に駈けつけぬわけには参りません。
3D版でしたので、これまで以上に箱庭感があってすごく良かった。冒頭の東京タワーてっぺんからの覗き込みはやり過ぎの感がありましたが、東京オリンピック開会式のブルーインパルスのデモンストレーションとか臨場感はまるでその場に立っているかのように思えるほど素晴らしい出来。ガチャガチャした洋画の3Dよりも目に優しいね。
鈴木オートの長男一平(小清水一揮くん)は、エレキに夢中。淳之介役の須賀健太くんもすっかり大きくなっちゃって、もうなんか別人。そんな中、三丁目は相変わらず三丁目のままで、大人は相変わらず。六ちゃん(堀北真希)は女っぽくなって、今回は六ちゃんの結婚式までしちゃう。あの当時に教会式でやるなんて、さすが東京タワーのお膝元の都会は違うなぁ。
ベタベタな物語運び。次はこうなると思った通りになる安心感。普通の映画だったら許せないこの既視感もこの作品なら許せてしまいます。茶川さんとそのお父さん(演:米倉斉加年)との話は涙なくしては観れないし、特に六ちゃんが嫁ぐ日に、社長と奥さんへのご挨拶。もうね、この歳になると父の心境で、こういう事を娘にされたらやっぱ泣いちゃうんだろーなぁとここでもホロリ。
山崎監督も言っていますが、「ALWAYS―」の情景は、単に現実の時代をトレースしたものではなくて、今を生きる私たちが思いを馳せる"あの頃"を映像化したもの。過去はすべからく美しいもの。だから、こんなにも良い人ばかりでてくるわけか…。
リアルにこの当時の情景を観たいのであれば、当時の映画を観れば良い。クレイジー映画なら「日本一のホラ吹き男」、怪獣映画だとキングギドラのデビュー作「三大怪獣地球最大の決戦」が64年の作品。古い街並みは、古い映画を観れば本物が出てきます。新宿とか渋谷とかいつも見慣れた街の数十年前の姿は観ていてほんと面白い。そういうのも、私が60年代、70年代の映画が好きな理由だったりします。
おっと、脱線。
映画の中で町医者の宅間先生(演:三浦友和)が、「出世とかお金とかそういう幸せだけがすべてじゃない」という風な事をいいます。ここ数日のblogで書いていた事をドンピシャでいわれた感じがして、スクリーンの前で「うんうん」と頷いてしまいました。出世や名声やお金が幸せを生む。それもそうかもしれないけど、でも、それで得られるものよりも、もっと大切なものが間違いなくあると思うし、信じたい。
甘いと言われるかもしれないし、そういうものを必死に求めている人から見れば、自分など落ちこぼれなんだと思う。それでもいい。羨ましがられるほどではないけど、自分なりに結構充実した人生送ってるもんね。
登場人物の死に涙させる、ざーとらしいお涙ものではなくて、人と人との交わりの大切さ豊かさで涙を誘う。べたではあるけれど、こういう映画があっても良いと思う。
お勧め。2Dでも良いけれど、3D作品として作られていますので、できれば3Dで観ることをお勧めします。